バフェットの遺言 10%を米国債で保有する意味




バフェットは自身の遺産を、90%をS&P 500に連動したETF、残りの10%を米国短期債で保有するように遺言しています。この文言の前半は納得できるとして、後半の米国短期債10%は何だろう?なくても良いのでは?と思う方も居られるのではないでしょうか。


低金利では忘れられがちな株式のライバル、米国債を今回は考察していきたいと思います。


米国債の特性とは何でしょうか。(1)期限まで保有しきれば元本が保証された金融商品、かつ、(2)主に政策金利に応じてその利回りと価格が変動する特性を持っています。


そして(1)の元本が保証されているという特性から、株式とは逆に景気の後退局面で買われ(高値を付け)、景気が徐々に回復する利上げ局面以降は売られる(安値を付ける)性質があります。


そのため、ポートフォリオに常に一定比率の債券を加えることで、暴落局面での資産下落を防ぐ、プロテクターの役割を果たしてくれます。


しかし、過去の報告からは、短期国債の長期利回りは4.9%/年とされ、長期利回り10.85%/年を誇る、S&P 500指数のポートフォリオ比率をあえて減らす意味はないように見えます。


私は、もう一つ別の意味があると思います。


株価の暴落時には、米国債は逆に値を上げ、米国債のポートフォリオ内比率は10% → 15% → 20%と上昇していくでしょう。厳密に資産内の米国債比率を10%に保つのであれば、値上がりした米国債を徐々に売却し、暴落したS&P 500連動ETFを買い増ししていくことになります。


つまり、バリュー株投資ですね。


私は株式下落時に有効な、いわば機械的な買い増しアルゴリズムを組み入れることが米国債10%の比率の意味だと考えています。


ですが、20-30年と長期に保有した場合は、100%株式で資産を保有した方が債券投資を混ぜるよりも優れているという報告も既になされています。それではなぜ超長期的には損をする取引をバフェットが望むのでしょうか。


ここからは推測です。20-30年では無く、5-10年程度の保有であれば資産内に少量の国債を加えると、資産のボラティリティを避けることが出来ると報告されています。


弱気相場で暴落が続き、強い損失を被ると「買い増し」では無く「損切り」をしたくなるのが生身の人間ですので、遺産相続人の心理的なストレスを和らげ、このアルゴリズム辞めた!と言いたくなることを避ける心理的な緩衝材の意味はあると思うのです。


また10%程度の債券保有であれば、20-30年の超長期であっても、ポートフォリオ全体の利回りの低下はわずかでしょう。


シンプル、かつ良く考えられた、この2銘柄だけで立派なポートフォリオだと思います。


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