ETFの適切な保有率に関して (1) ETFにあって個別株にないモノ




インデックス投資が人気です。高い過去の利益水準(S&P 500指数の過去データでは年利回り10.85%となります)、主要なヘッジファンドがインデックスをアウトパフォーム出来なかった成績、また個別株の倒産リスクを回避出来ることが追い風となり、多くの個人投資家・機関投資家がインデックス投資を利用しています。


簡単、かつ株式独特の下落時の恐怖(スリル?)がないため、他人に投資を勧めるならば、私のおすすめはETFかつVTI一択です。


このシリーズではバリュー投資の観点、特に個別株投資家の観点からインデックス投資の購入に関し私見をお伝えします。


日本で米国株投資を行っていらっしゃる投資家の方にはウォーレン・バフェットの手腕を見て投資を始められた方も多いのではないでしょうか。しかし、いざ銘柄を検討してみると、コカ・コーラ、マクドナルド、アルファベットなどの日本でも有名なブランド銘柄は既に相応の高値をつけており、購入する銘柄が見つからない悩みもあるのではないかと思います。


そして調節局面を待って購入しようとしている間にウォッチしていた銘柄の価格がPER 25 → 30 →40と更に上昇し、「バスに乗り遅れるな」とばかりに高値銘柄の誘惑に悩まされることはないでしょうか。


バフェットの手法によるバリュー投資は、(1)寡占性による将来の持続的成長が見込める銘柄を探し、(2)本質的価値よりも低い価格での株式購入を行い、(3)株価が標準回帰した後により高い利益率の銘柄に移行することに大まかに分かれます。


現在のように高騰しつつある市況ではグロース株を始めとした好業績銘柄、堅牢な財政基盤を持つ銘柄は、本来の価値より過分な高値をつける性質があり、(1)を満たす銘柄は既に好業績を織り込まれて高値をつけています。


私の株式購入にあたっては、バフェット同様に最低予測利回り10%を基本としています。これは過去のS&P 500の平均年リターン10%よりも大きい利回りを得なければ個別株投資の意味が無いためです。現在、この最低利回りを満たす銘柄は無いとは申しませんが、見つけることがそれなりに難しくなってきており、私の考える範囲ではその候補もS&P 500指数の500社の内でも数銘柄といったところです。


私は株価の高騰が今後続き、個別株の購入候補がなくなった時点で、まだ市場平均の予測利回り>債券の利回りならばS&P 500連動ETFの購入を行います。


以前、「適切な債券・キャッシュの保有率に関して」のシリーズで、市場平均利回り>債券利回りの間は株価は上昇を続け、いずれ金利上昇に伴い、市場平均利回り<債券利回りとなれば自然な調節を来す、そのサイクルを市場は繰り返しているとお伝えしました。


そのサイクルの中で、個別株の購入候補が無くとも市場全体として利益が出る可能性が高い場面では、インデックス投資にシフトして株式購入を続けるメリットが勝ると考えます。


恐らくそれはバブルがより近づいた局面でしょうから、個別株としてはとても購入できないIT銘柄などのグロース株(アマゾンやフェイスブックなど)に、リスクを低減しつつ投資が可能となる効果をETFは帯びることとなります。


このように、バリュー投資家としては個別投資対象とならないグロース株や、投資対象が無い市況でも投資し得るところにETF投資の妙味があると思います。


次回は、資産内のETFの適切な保有率に関して考察を行っていきます。




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