バリュー投資とレバレッジ 借金が得になる状況を考える




景気が上向いてくると、レバレッジをかけた投資がちらほらと流行り始めます。


投資に借金なんてとんでもない、と言われる方は日本では多いと思います。また逆にFXや不動産投資をされている方は大きなレバレッジをかけて投資をされていると思います。人によって考えが異なるのが借金ですが、資産運用の観点ではどちらが正しいのでしょうか。


今回は米国株投資において、借金は悪なのかどうかを考察していきます。


米国の市場平均S&P 500に連動するETFは、過去の年利回りは10.85%と高い水準でした。低金利の現在、例えば年5%の金利で借金をして、全てS&P 500に連動するETFを購入し利回りの差で利益を狙うという試みもあるかと思います。


しかし、この戦略には問題点があります。(1)中短期的に調節を繰り返しつつ成長していくのが市場経済の特性であるため、一時的な調節で大きな損害を受ける可能性があること、(2)金利上昇を来した場合に金利負担に耐えられなくなる可能性があることが問題です。


一般に借金は、市況が良い場合は「レバレッジ」の言葉通りテコとして機能し、大きく運用成績を押し上げます。しかし反対に、市況が傾くと、レバレッジの機能が金利支払いの方向に向かうこととなります。借金には金利がつきものであり、金利が支払えない場合は借金自体が負の複利効果で拡大し、最後は継続できなくなることになります。


バブルが崩壊した後にはほとんど例外なく恐慌ないしそれに準じる不況に見舞われます。これはバブルの際に生じる旺盛な需要に対して企業が生産設備を増強し、また金融機関は不良債権を蓄積していること、そして消費者も投資にレバレッジをかけていることから、強い需要の低下と供給過剰が生じるためです。


つまり市況が傾いたときに支払いが不可能になるような、過分な額のレバレッジは、好況時は良くとも最終的に破綻を生む可能性の方が大きいと考えます。


では、資産の何%位までなら借金を使用してよいかというと、金利にもよるため一概には言えませんが、私は資産の20-30%までと考えます。残りの70-80%の資産価値が半額以下に暴落しても、つねに借入金を即時返済可能であるためです。


ウォーレン・バフェットは借金は資産の20%までと言っていますが、現在の低金利環境下では30%くらいまでは状況に応じて使用可と考えます。


また、重要なのは借金のタイミングです。


米国株投資は5-10年程度の長期で見なければ安定したリターンは期待できないため、(1)金利が十分に安いとき、かつ(2)利上げの時期からして次の景気後退まで数年以上の猶予、出来れば5年以上あると考えられるとき、が借金をするタイミングと考えます。また個別株では(3)欲しい銘柄が十分以上に安く、利益を得られる可能性が高いことも重要です。


つまり、恐慌の真っ最中に借金をするのが最も良いタイミングということになります。強いハートが要求されるため、この意味でも資産の20-30%以上を借金する勇気は私にはありません。


「最後に0を掛ければ0になる」とはリスクが大きい投資に対してのウォーレン・バフェットの言ですが、負の複利効果を生むリスクがある借金でも、私は十分な安全域を保つ必要があると思います。


スポンサーリンク



スポンサーリンク


0 件のコメント :