マクドナルド(MCD)の投資判断(1) 蘇るハンバーガー帝国 その利益を生むヒミツ





今回は米国を代表する銘柄の一つ、マクドナルドを考察していきます。


同社はハンバーガーを主力としてグローバル展開するファーストチェーン店です。米国売上が1/3、その他が2/3と売上の多くをグローバルが占めます。年間15億食を販売し、35000店以上の店舗を展開しています。チェーン展開の規模でも世界で五指に入る企業となっています。


企業のブランド力も素晴らしく、恐らく世界でも同社を知らない人はほとんどいないでしょう。Americanizationの代名詞として、時に反米デモの矛先が向かうなど、様々な意味でも米国を代表する一流企業だと思います。


さて、同社の業績を考えていく前に、同社の創業者が言った有名な台詞を見てみます。曰く、「私のビジネスはハンバーガーを売ることではありません。不動産業です」とのことです。この意味をまずは考察していきましょう。



※マクドナルド  IR  2016より引用


同社の売上は、(1)同社が経営する直営店からの売上と、(2)フランチャイズからの売上の2つに分かれます。上図で見ていくと、売上の38%を占めるに過ぎないフランチャイズですが、その営業利益率は81.7%と恐るべき利益率を誇っており、営業利益の大半を稼ぎ出しているのです。


マクドナルドのフランチャイズは、マクドナルド本部が出店する土地を選択し取得するところから、店舗の建築、そしてマクドナルドのメニュー提供までを一貫して行い、その代償としてフランチャイジーから、売上の3%のロイヤリティー収入、また不動産賃料を徴収するモデルです。


このフランチャイズ部門がマクドナルドの収益の柱になっており、同社はハンバーガーを売るビジネスモデル自体を販売する企業ということが出来ます





さて、絶大なブランド力を誇る同社も、2010年前後からは、コア客層がオーガニック志向の強いミレニアル世代に移り変わったことにより、逆風に晒されました。


元来、同社に対する不健康・肥満といったネガティブイメージが醸成されていたことや、ファーストフードよりも美味しく健康的とされるシェイク・シャックを始めとしたグルメバーガーの台頭も併せ、同社の売上は低迷することとなります。


同社の売上は2010年頃を境に2016年まで横這いから漸減に転じています。これは上述の競争激化による売上減に加え、競争激化に対し企業体質のスリム化を図るため、直営店をフランチャイズ店へ店舗売却したことによるものです。

2013年 → 2016年にかけて発行済み株式数の17%に及ぶ同社の猛烈な自社株買いの効果もあり、その中でもEPSは横這いを保っています。


そういった株主還元姿勢の影響があり、同社は債務超過に転じています。そのためROEは計算不能ですので、ROAのみお示ししますが、10年間の平均は14.25%と十分な水準です。


BPSは2016年より債務超過に転じています。



キャッシュフローからは大規模な設備投資を必要としない、効率的な同社の財務体質が見て取れますね。


数年低迷が続いた業績ですが、ここ最近は(1)フランチャイズへの店舗売却が終了のメドがたったこと(フランチャイズ率は全体の9割に上昇)、(2)価格帯毎のメニュー改善や経費削減などの効果が相まって業績は底入れし、徐々に改善に向かっています。


直近の2017年Q2では、売上は前年比3.4%減だったものの、純利益27.6%増を達成しています。



それを反映して、近年の株価は急激な上昇を示しています。ミレニアル世代によって食品やアパレルなど様々なジャンルで嵐が吹き荒れている米国市場ですが、いち早く立ち直った同銘柄からは、消費者の嗜好変化にも負けない、同社サービスの驚くべき「粘着性」を感じます


さて、それではこのように堅牢な「堀」を持つ同銘柄は現状、購入対象となるのでしょうか。次回は同銘柄の安全域について考察していきます。




スポンサーリンク



スポンサーリンク


0 件のコメント :