ディスカバリー・コミュニケーションズ(DISCA)の投資判断(1) FAANGの裏を買え!




ディスカバリー・チャンネルを皆さんはご覧になったことはあるでしょうか?


学校で、家庭で、職場で、どこかでディスカバリーのドキュメンタリーを見たことがある方も多いと思います。


歴史・冒険・テクノロジーなど様々な専門的ドキュメンタリーを作成し続け、その品質から世界中に知られる抜群の知名度を持ち、教育機関や企業でも採用が多いディスカバリー・チャンネルですが、最近はNetflix・Amazonを始めとした定額動画配信サービスに押され業績の伸び悩みを見せています。


そんな中、今回、私はディスカバリー・コミュニケーションズ(DISCA)に資産の15%、500万円ほどの投資を行いました。


このシリーズでは私が思う本銘柄の長所と短所に関してお伝えしていこうと思います。


始めに


本シリーズを始めるに当たり、まず一つお伝えしておきたいことがあります。


当ブログの方針はバリュー投資です。「安く買い高く売ること」、ここに私の投資は集約されます。


ですが近年のようなFAANGを中心とした高値相場にあって、本銘柄のようなまさにFAANGの裏を行くバリュー銘柄への投資は、中短期的(2-3年程度)に市場平均を下回る可能性が、かなり高いことを前もってお伝えしておきます。


FAANG、すなわちデジタル広告、eコマース、動画配信、オンラインプラットフォームなどの業態は、そのビジネスが世界に与える素晴らしい影響とは別に、いくつかの銘柄でその価格は既に常軌を外れた高値を付けていると私は感じています。


そしてバリュー投資家でも次第に自身のリターン低迷によって自信を失い、「全く新しい時代が始まったのかも知れない」と迷い、FAANGないしそれに類する銘柄を買い始めています。


ファンダメンタルズに基づいたITバブルとでも言うべきこの相場は、かつて「P&Gやフィリップス・モリスなどファンダメンタルズが優れた銘柄ならば損をすることは無い!」とされた、70年代のニフティ・フィフティバブルの再来を見ているように思いますし、私の投資人生の実感から言っても、投資を始めたリーマン・ショックの数年前の熱狂を再度見ているように思うのです。


流行りの銘柄・仮想通貨への投資のように、いずれ破綻に至る危険な賭けに乗ることは出来ませんし、私は出来るだけそのような企業から遠い場所に資金を置きたいと思っています。そして市場の暴落が始まり長期に続いたとしても、高い確率で企業価値が長期に渡り保たれ、キャッシュフローと資産などで価値が担保されたビジネスを多く保有したいと、近年の過熱した相場からは感じています。


私の銘柄選別は恐らくは保守的に過ぎ、そしてそうすべき時期よりも早すぎるのでしょう。実際に年次リターンもこれから減じてくる可能性が高いと思いますが、それでもバフェットが言うように「高い銘柄を買う位なら、過度に保守的と言われペナルティーを科されるほうがマシ」だと思っています。


当ブログをご覧の皆様、特に投資の初心者の方にあっても、このような高値相場だからこそ、より慎重な投資をご検討頂ければと思います。


それでは、ディスカバリー・コミュニケーションズの企業内容を見ていきましょう。




ディスカバリー・コミュニケーションズ (DISCA)


会社概要


ディスカバリー・コミュニケーションズは米国のメディア関連企業です。ディスカバリー・チャンネルを始めとする、ケーブルTV・オンライン向けの専門チャネルを多数保有しています。


同チャンネルは全世界170ヵ国の4億9000万世帯で利用されており、米国では9400万人が視聴している世界最大のドキュメンタリー・チャンネルです。


1984年に創設され、さまざまな企業との合弁を経てチャンネルを増やし現在扱っている主な米国内のチャンネルは主に下記です。




また海外向け事業として上の米国内に準じたチャンネルを発信し、またヨーロッパを中心としたスポーツチャンネル、ユーロスポーツを保有しています。そして、ヨーロッパでは2018-2024年のオリンピック放映権も保有しています。


更に2017年後半に、米国のケーブルテレビ・オンラインチャンネルの大手、スクリップスを買収し2018年初頭には合併完了の予定です。同社の保有するチャンネルは主に下記になり、食事と住宅に特化したチャンネル構成になっています。



・料理チャンネル
・旅行チャンネル
・DIYチャンネル
・HGTV(住宅・庭を扱う)



これによりドキュメンタリー番組制作に特化した、2大ケーブルTV大手が合併することとなります。


※同社のIR 2017 Q3より引用。


また同企業の売上は米国内・米国外で概ね50%ずつであり、米国を中心としたグローバル企業と言えますね。


財務諸表


次は財務諸表を見ていきましょう。


※縦軸の単位は百万ドル。


動画配信サービスの影響を受けて伸び悩む売上ですが、それでも売上増を達成しています。売上高利益率は20%弱と良好な水準です。


※縦軸の単位はドル。


EPSは順当に増加傾向です。というのはここ最近は年5%程度の大量の自社株買いを同社が行っているためです。なお本銘柄は無配です。


※縦軸の単位は%。


ROEは15-18%とまずまずですが、ROAは6%前後で2011年の10%近い水準から次第と漸減していることに注意が必要です。


※縦軸の単位はドル。


2014年に大きくBPSが減じていますが、これは借入金を用いてドイツのメディア企業、プロジーベンザット1メディアを部分的に買収したためです。その他にもさまざまな企業買収を本企業は近年積極的に行っています。


※縦軸の単位は百万ドル。


キャッシュフローからは殆ど設備投資を必要としない業界の構造が見えます。激戦の中、フリーキャッシュフローは漸増傾向を保っていますね。


同企業の時価総額が83億ドル位ですから、2017年 Q3 TTMで言うと15.8億ドル/年を生むキャッシュフローは、実に優秀です。


これほどのキャッシュフローがあれば、企業を丸ごと買収したとしても、5年ほどで投資した全額が回収可能な計算になります。


以上を総括した私の印象は、もともとはケーブルTVという寡占モデルを持っていた企業ですが、近年は動画配信サービスにより足踏みを強いられており、しかしそれでもなお、まずまずの業績を出しているというものです。


私の視点


さて、バリューの視点から言いますと、ビジネスとして優秀であっても高値に過ぎて購入には適さない銘柄がある一方(先述のFAANGなどを考えます)、ビジネスとしてはそこそこながら素晴らしいバーゲン価格によって購入対象となり得る銘柄もあります。


かつて米国のケーブルTV市場で覇を唱えていた頃はとても手が出ない「高嶺の花」だった本銘柄も、Netflixのお蔭でその成長性こそ奪われたものの、キャッシュフローを生み出す力はまずまず保たれたまま、価格は墜落といっていいレベルまで近年下落してきました。


私は主にキャッシュを生み出す力が失われておらず、5年以内に元本も含めた投資金額が全額回収出来る可能性が高ければ投資対象としていますが、本銘柄の場合はどうでしょう?


次回は、本銘柄のキャッシュを生む力が未だ残されているのかどうか、まずは本銘柄を取り囲む周辺環境を考察していこうと思います。



注:
本シリーズ(1) (2) (3)の内容は2018年1月5日時点の企業業績を基に記載しておりますので、数値などを参考にされる場合はその旨ご留意ください。




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