米国債ETF(1) 投資家の必修科目、米国債





米国債投資に興味のある投資家は、本邦では非常に稀ではないかと思います。


皆様の中にも、先進国全体における歴史的な低金利によってその投資利回りは著しく減じている現状、株式に比べた場合のリターンの低さから、米国債投資を行う気にならないという方も多いのではないでしょうか?


また償還まで保有しきった場合には利回りが固定されているという債券の性質上、年金基金などの機関投資家や高齢者の方など、安全志向の投資スタイルで運用するものであり、若い投資家の方にとっては運用の面白みに欠けるという印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか?


或いはマクロ経済が大きく関与する一見複雑な債券投資の仕組みから、ちょっと債券は苦手で…という方も案外多いのではないかと思います。


今回はそんな低金利下では不人気の投資先、米国債に関して、株式投資家にとって必要な部分を重点的にお伝えしていこうと思います。


なお、本シリーズの結論を前もって言いますと、(1)やがて訪れる可能性が高いバブルの極期、そして、(2)高金利のときには株式よりも素晴らしい安定性と利回りの投資先になり得るということが結論です。


興味を持たれた方は、ぜひご覧いただけましたら幸いです。




米国債投資(ETF)


米国債とは


米国債(United States Treasury Security)とはアメリカ合衆国財務省が発行する公債です。


なお短期債・中期債・長期債を表す、Treasury Bill/Note/Bondの "Treasury" はこの財務省の意味です。


強力な経済力をベースとした基軸通貨ドルの発行元という米国の強みから、元本支払い及び利払いへの強い信頼を持ち、莫大な流動性によって市場の変動時も取引可能かつ、年金基金・各国政府の多額の資金の受け皿としても過不足無い市場が形成されているのが、米国債です。


そしてこの米国債の金利が短期・長期金利の世界的な指標となっています。


また極めて安定性の高い資産クラスである性質上、戦争や恐慌の際は、「質への逃避:flight to quality」として米国債が選好され資金流入が起きる傾向がみられます。


米国債の種類 利払いによる分類


それではまず米国債の種類を見ていきましょう。



利払い方法による分類

・利付国債
・割引国債(ゼロクーポン債 = STRIPS債)



利付債は利息が半年に一度支払われる(なお債券の世界では利息のことをクーポンとも呼びます)、通常イメージしやすいタイプの国債ですね。


そして割引債(クーポンが無いためゼロクーポン債とも呼びます)は、あらかじめ利息分が複利計算で割り引かれた形で割安で販売され、満期時に額面金額で償還される国債です。


割引債は例えば現状30年物であれば100万円分投資すると、30年後には約2.2倍の220万円になって返ってくることとなります(注:為替は考慮していません)。そしてこのように利息が無い分、利付債に比べて投資金額が少なくとも済むのも割引債の特徴となります。


この2つの違いは国債現物を購入する場合(ETF購入でない場合)、(1)利付債は利息を再投資しなければ単利となる一方で割引債は複利となること、(2)割引債は投資金額が比較的少なくとも購入可能であることにあり、基本的にトータルでは有利・不利はありません。


そしていずれも額面に対する利率は発行時点に決定されていますので、償還まで保有しきれば、途中の金利の変動に関係なくリターンは購入時点から固定されているということになりますね。


そのため債券を別名、fixed income = 固定された収入とも呼ぶのです。


ちなみに、債券投資の世界では発行額面に対して受け取るクーポンの割合を利率 = クーポンないしクーポンレートと呼び、投資資本に対して受け取る年当たり収益の割合を利回りと呼んで区別します。


米国債の種類 償還期限による分類


また米国債は、償還までの期限により以下のように分かれています。



償還期限による分類

・短期国債(Treasury Bills: 1年以内の割引債)
・中期国債(Treasury Notes: 2, 3, 5, 7, 10年物の利付債)
・長期国債(Treasury Bonds: 30年物の利付債)



この際、1年以内の償還期限の場合は割引債として金利が支払われることとなり、2年以上の償還期限のものは利付債として6か月毎に金利が支払われることになります。


オマケとしてのインフレ連動債(TIPS)


最後に個別株投資家にとってはオマケとして、インフレ連動債(TIPS:Treasury of Inflation Protected Securities)というものもあります。


こちらは簡単に言うとCPI連動型米国債です。つまりインフレに連動して将来の元本償還額が変動する商品ですね。


ですが、私は個人的にこのインフレ連動債はあまりオススメしません。


というのは、(1)往時のような10%にも及ぶような強いインフレ期待には乏しい米国の現状があり、また、(2)同じインフレ対策をするなら市況にもよるものの、インフレに耐える銘柄を選んで個別株に投資する方が高利回りが得られる可能性が高いためです。


人によりインフレは企業成長に悪影響を与えるというご意見も聞きます。しかしここ200年間ほとんどの間インフレ進行を続けた米国や世界経済において、企業、そして株式が成長しなかったことが本当にあったでしょうか?


従って機関投資家ならともかく、本邦の個人投資家でTIPSを投資対象にする必要のある方は少ないのではないかと思います。


また物事はシンプルに考えるのが私の投資方針ですが、マクロ経済の影響を強く受けるこういった商品は、ミクロの個別株や米国債の中でも単純に一定の利回りで支払いが成される他のシンプルな商品と比べ、その将来に関わる要素が複雑に過ぎると思うのです。


複雑すぎる商品は不慮の事故の危険性が高まるため、私は手を出さないようにしていますし、バフェットが言うように、「マクロの予想は危険ですらある」と私自身も思っています。


米国債投資(ETF)のまとめ


以上より、米国債はおおまかに短期・中期・長期債、そして利付債・割引債(=ゼロクーポン債)に分かれることになります。


では、この分類がどう投資に役立つのでしょうか?


それは、(1)恐慌が生じた際には、米国債が多くの場合に利益をもたらし、株式への打撃を和らげ、打ち消す特性を持っていること、(2)その際に米国債は長期債 > 中期債 > 短期債の順で高いリターンをもたらす一方でリスクも大きくなるという、ある種レバレッジにも似た効果を国債の残余期間が持つことにあるのです。


次回は、この現象を詳しく考察していきたいと思います。




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2 件のコメント :

匿名 さんのコメント...
小塚 崇史 さんのコメント...