シケモクの注意事項(2) シケモク保有の心得





前回は米国株におけるシケモク銘柄が、(1)様々な悪材料で投資家が見放した銘柄、(2)小型銘柄、(3)更に利益回復の見通しが不明瞭な銘柄であること、しかしそれゆえに本質的価値よりも過分に安い価格で放置されておりバリュー投資の機会があることをお伝えしました。


今回はそういった銘柄に投資するに当たって、私自身も注意している事柄をお伝えします。




シケモク保有時の心得


ボラティリティへの心得


基本的にシケモク銘柄は、その業績不振故に怒涛の売りが殺到することも多く、短期的にそのボラティリティが大変大きいものとなります。実際に私が保有しているフォッシル(FOSL)の短期間の値動きを見てみましょう。


※FOSL、11月14日より1か月間のチャート。


このチャートを見るとわずか1か月間に22%の株価の変動を来しています。まるでジェットコースターですね。


ちなみにフォッシルの場合、5年間で-92.7%、2017年年初からで -74.2%という大きな変動率を持つ米国市場でも有数の下落銘柄です。


こういった銘柄は、市場平均の動向にも大変敏感であり、市場全体の下落時においては最も脆弱な銘柄となり得る点に注意が必要です。


年次報告書を読み続けるという心得


価格下落時に拠り所となる保有の根拠は、その銘柄の本質的な価値です。


本質的な価値が不変であれば、株価がどう動こうと理論的に何の問題もありませんし、寧ろ安値 = 買い場を頻繁に供給してくれるボラティリティは心強い味方とも言えます。


そして本質的価値を読み解くポイントは、徹底的な年次報告書の読解にあります。私は保有している銘柄の年次報告書は概ね空で言えるくらいには繰り返して読んでいますし、バフェットが言うように「小論文一つ書ける位にはその銘柄のことを理解しておく」必要があると強く思っています。


その銘柄の本質的価値を規定するものは、資産価値、ブランド価値、それによって生じる企業のキャッシュの量にありますが、これらを読み解く読解が必要不可欠と思います。


待つという心得


またもう一つ重要なのは、例え株価がいかに下落しても、自身が思う本質的価値の根拠が揺らがなければ決して株式を売らずに保有し続けるという、先日お伝えしたような人の本能に逆らう性質が重要だと感じています。


ここは個々人の性分が大きいかと思います。というのは、どんな優秀な方でもどうしても周囲の好業績を見ると、自身のポートフォリオが伸び悩むのを許せない、待てないという方を私自身多く見て参りました。そして過剰なレバレッジをかけた個別株取引、ないし高いPERの銘柄への投資等を行い、結果、先のリーマンショックの時には周りの多くの優秀な投資家がこれによりドロップアウトされていきました。


この問題ばかりは、自身の性分にあった投資スタイルを選択するしかないのではないかと思っています。


シケモク投資が肌に合わない場合の米国株投資


まとめますとシケモク投資やバリュー投資全般において必要なことは、(1)年次報告書の徹底的な読解と理解、(2)待ちつづけるある種の愚直さだと思います。


バリュー投資というものが、そもそも安くなった銘柄を購入する訳ですから、何らかの原因による訳アリ品ということが前提にある訳です。ここで年次報告書を十分に読まないとなると、正にそのまま株価が墜落していく事故銘柄を引き当てる率が飛躍的に上昇します。


また20-30%程度の値下がりで恐怖によって「損切り」をするのでは、せっかくの買い増しの機会が台無しになってしまいますので、本質的な価値が損なわれていなければ待ち続けることが重要です。


しかしながら、どうしても忙しくて年次報告書を読み込めない方、或いは語学の問題が壁になってこういった準備が出来ない方も居られるでしょう。


そのため次善の策を考えてみます。


ETFという考え


まずお勧めするのはVTI・SPYなどといった米国の市場平均に連動するETFです。


将来の正確な予測は出来ませんが、米国市場の過去の平均リターンが1989-2007年において、10.85%/年であったという好業績に加えて、今後も先進国内では高齢化という問題に耐性を持つ人口動態、世界トップシェアのグローバル企業群などの国家としての優位性は抜群だろうと思われます。


私自身が家族に勧めるならば、まずこういったETFが第一選択です。


優秀な投資家に運用してもらう考え


もう一つ、お勧めできるのは徹底したバリュー志向の優秀な投資家による資産運用です。


(1)バフェットのバークシャー・ハサウェイ、(2)モニッシュ・パブライのパブライ・インベストメント・ファンド、(3)ガイ・スピアのアクアマリン・キャピタル・マネジメントなどを個人的には考えます


(1)のバフェットは言わずもがなですが、高齢によって今後の資産運用方針がどうなるか見通し難い点が問題です。


また運用資産が巨大になりすぎたことで、池に入ったクジラよろしくその成績が近年低下している点も問題です。もちろんこれ程の規模の運用を行って高いリターンを出し続けている点は素晴らしいのですが、しかしバフェットの運用方法で最も個人投資家に参考になるのはBPL時代のバフェットの手法だと私は思っています。


(2)(3)のパブライやスピアは、バフェットの熱烈なファンであり、その投資手法も正に若き日のバフェット、或いはグレアムの手法をそのまま見ているかのように個人的には思います。


私自身はパブライやスピアのファンですし、本物のバリュー投資家だと思っています。こういった自身の信が置ける投資家に運用資産を預ける、ないし公開されているポートフォリオをそのままコピーするというのも一つの手ではないかと思います。


興味がある方は、彼らのポートフォリオ・著作を検索してみてください。面白いですよ。


最後に


「彼を知り、己を知れば百戦危うからず」とは孫氏の言ですが、投資対象と同様に自身の限界を知ることも投資なのだろうと自身、肝に銘じています。


米国株バリュー投資とは違う、例えば不動産投資などのレバレッジが大きく必要となる投資はその借入金を考えると私にはとても苦痛ですし、恐らく心配で夜眠れなくなるのではと思います。捨て値で売られているような弱気相場ならいざ知らず、現状の市況ではとてもできそうにありません。


また私は自身がよく知るクレジットカード銘柄以外には、金融銘柄には手を出しません。これは金融銘柄の特殊なバランスシートを読解することが私には日本語であっても困難だからです。大きくレバレッジをかけるセクターの特性上、負債の全てを理解せずに投資を行うことは私には出来ません。


そのため、利上げ局面などで金融銘柄をポートフォリオに組み入れる場合は、金融銘柄に連動したETFに対象を限定していますし、もし大きなチャンスが出てくれば複数の銘柄を均等にバスケット式で買う手法を選択するでしょう。または利上げによる反動で市場から過剰に売られた他セクター銘柄に投資するようにしています。


これも私の投資の安全域を保つために重要なことだと信じています。


ですから投資にはそれぞれ各人に合った方法を選んだ方がよいと思います。そして当ブログが情報を選ぶに当たり皆様の一助になればと、そう願っています。


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