今回は当ブログの2023年度年次報告となります。
2023年12月29日(NY市場終了時)の投資資本は251,672,721円でした。
以下は当ブログの長期成績です(注1)。
※ポートフォリオからキャッシュポジション部分を除し、株式部分のみとして計算し直した、S&P500指数との税引後・配当込みでの幾何平均リターン比較となります。本年の円建て年初来利益は+41.5%、ドル建て利益+31.6%となっており、それに対してS&P500指数のドル建て利益+26.2%です。
従って当ブログの2023年度株式利回りはS&P500を+5.4%上回り、アウトパフォーム期間は、現在まで11年間連続という事になります。
遡って2011年の記録開始から見ますと、12年間でのS&P500のドル建て累積利益+377.6%、ダウ平均+331%、NASDAQ100+735%に対し、当ポートフォリオの累計ドル建て利益+1059.9%(累計円建て利益+1915.4%)となっています。
※注1:昨年の開示までは信用による利益を利回りの計算に含めていませんでしたが、今年からは信用が戦略の主であることを踏まえて、過去年度の利回りを信用込みで算出し直しています。
なお信用を用いた期間は、2013・2014・2018・2020・2022・2023年度ですが、用いた期間全てにおいて黒字で信用取引を終了しています。
個人資産
以下、私の個人資産となります。
生活資金などを別にしていますので、上図ではその点を加味すると、12月29日付の個人資産は、255,387,494円となります。
またその他に500万円程の資産がありますので、純資産は2.6億円ほどということになります。
資産推移とポートフォリオ
純資産の推移、ポートフォリオ構成です。
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2020年に生じたコロナ禍は、人類が過去100年の間でも経験したことのない大きな問題を孕んでいました。
人と人との接触を根本から制限せざるを得ないという、疾病への疫学的アプローチが生じる経済への負担はとても重く、各国の政府・中央銀行は莫大な金融緩和・財政出動で臨むこととなりました。
またここ数年間で明らかとなった中国やロシアなどの国家群と、西欧諸国との間の政治的軋轢が強さを増す中で、互いの経済のサプライチェーンの断絶や、原油や鉱物といった資源が特に独裁的な政治体制を持つ国家に多く存在するという事実が問題を生じることとなりました。
そしてコロナ禍が過ぎゆき、失われていた各種の需要が再度生じて来るなかで、インフレ率の急激な上昇という形での副作用をもたらすこととなります。
いわばコロナ禍の負の遺産とも呼べるものが、我々がここ数年間目にすることとなったインフレ率の上昇であった訳ですが、このインフレに対し、各国の中央銀行は利上げやバランスシートの縮小をもって臨むこととなります。
この金融政策の巻き戻しは、結果として2022年から2023年年初にかけて、株価指数のかなりの調整を生じることとなりました。
※S&P500指数 長期推移当方としては、その中でバリュー株としても割安に放置されていたと思われる、円安や資源高といったマクロイベントに晒された企業に対して、昨年から引き続き株式の保有を継続しています。
投資判断、その背景
続く宴
2023年初頭の時点では、多くの向きが株式市場の大幅な下落を予想していました。
株式のブームは、やがては暴落をもって終了するのが常であるという常識的な考えもさることながら、これ程のインフレを前にして、中央銀行の引き締めが景気の後退を伴うことなしに出来る筈がないという考えが生じたのは当然のことであったのだろうと思います。
結果としては、市場が暴落に陥るというコンセンサス(恐らくは多くの期待を含む)は裏切られました。株式市場は昨年一年をかけて急反発を生じることになったからです。
※FEDバランスシート 長期経過レトロスペクティブ(後向き)に見るのならば、中央銀行の姿勢が景気を崩すこと、それは本当の意味でのインフレの制御には必要なことなのですが、これに対し及び腰であったことが原因として挙げられるでしょう。
特にFRBが、2023年年初のシリコンバレー銀行の破綻を境にバランスシートの縮小を一時的に止めたことや、またその後の縮小の速度が、コロナ禍以前に立ち戻るのにはとても遅いことが具体的な原因として挙げられます。
経済とは経年的に、また自律的に成長するものです。ですから過去のバブルの崩壊の経過とはやや異なり、中央銀行がいわば時間稼ぎを試みる中で、時間を経る間に生じた企業と経済自体の成長、そして緩和的な金融環境の持続、このいずれもが市場の一連の動きに繋がったのだろうと思います。
ですからまだ今回の宴は続いているのでしょう。そして私はいつも思うのですが、やがて問題となるのはこの宴の中では、その終わりを示す時計がないということです。
主要取引
それでは今回は、今年のポートフォリオの利益面で活躍した防御的な銘柄、特に日本ハムに焦点を置きながら、投資にかかる考えの背景となった今年のコモディティ価格や為替の変動の問題などを、順に見ていくことにしましょう。
防御的でない "ディフェンシブ"
こちらの図表は、米国でディフェンシブ銘柄として取り上げられることの多い、生活消費財セクターETF(XLP)とナスダック100指数とを比較したものです(実線はXLP・青はナスダック100指数)。
ナスダック100指数が強気に出る時期にはディフェンシブは弱含み、指数が弱い時にはその逆となる。そうした防御的なセクターの特性が反映された一年間であったことが見て取れるかと思います。
次に日本株での傾向を見るために、日本の食品株セクターと日経平均とを比較してみましょう(実線は食品 TOPIX-17 ETF・青は日経平均)。
リーマンショック後の2008年頃から見た長期経過の中で、両者は2019年頃までは概ね同じ程度の株価推移をとっているように見えます。ですがここ数年間は、日経平均の好調に比べて食品株は後れを取っているように見えますね(※注2)。
こうした経過は、例えば2000年 ITバブルの際にも見られ(実線がXLP・青がナスダック指数)、これは経済が好調となった際に、その過熱によるインフレや、流行りの投資への熱自体がディフェンシブ銘柄から相対的に資金を奪うということから、時を経ても景気サイクルの度に繰り返されているのだろうと思います。
本年でも似た性質が見られており、従って私が投資している企業群では残念なことですが、この一年間のうちに対指数で浮かび上がることはありませんでした。
※注2:1617 Next Funds 食品(TOPIX17)上場投資信託の主要構成銘柄での長期ROE推移は、日経平均指数の長期ROEに対して劣後していないことを一通り確認しています。つまり簿価と価値の積み上げという意味から、両者の株価の経過が長期的に一致していたことには整合性があるのではないかと考えています。
過ぎ行く冬
最後に
人が抱える問題の大半は、ひとり黙して座っていられないことに起因するブレーズ・パスカル
耐雪梅花麗(雪に耐えて梅花麗しく)経霜楓葉丹(霜を経て楓葉丹し)如能識天意(如し能く天意を識らば)豈敢自謀安(豈敢て自から安きを謀らんや)雪に耐えてこそ、梅花は麗しく咲く。霜を経てこそ、楓は紅く染まる。貴方は、この天の理を知るだろうか。もしそうであれば、どうして敢えて、自ら安き(安易な)道を選ぶことが出来るのだろう。西郷 南洲
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