投資資本の最大化を目指して (2) 生命保険の解約 医師からの見方




生命保険を契約されている方は多いのではないでしょうか。万が一の事態に備え、家族の生活のバックアップを考え加入されている方も多いと思います。


資産運用のためには、投資元本の最大化が重要となります。米国投資は年10%前後の利回りを長期間かけて運用することで資産増加を図るため、初期の元本が非常に重要となるからです。


家計でも大きなウエイトを占めると思われる生命保険に関して、今回は医師としての見解も併せて私見をお伝えします。


生命保険は、ときに不幸の宝くじと呼ばれます。


日本人の5大死亡原因は(1)悪性新生物(癌)、(2)心疾患、(3)肺炎、(4)脳血管疾患、(5)老衰となり、これらで死亡原因の70%程度を占めます。


(1)(2)(4)といった死亡原因は統計学的に人口の何%に生じるかということは分かっておりますので、それに基づき罹患した場合に予測される医療費・保険金支払いを考慮した上で、保険の価格が設定されています。


つまり胴元の利益が確定しているビジネスモデルという意味で宝くじと類似した金融商品といえます。そして宝くじとは異なり、当たった場合は保険金支払いと同時に不幸が舞い込むこととなります。


さて、われわれに生命保険は必須なのでしょうか。いつ起こるか分からない病気ですから、万全の備えを保つほうが良いのでしょうか。


病気にはその頻度を増加させるリスク要因が存在します。主に動脈硬化疾患から生じる心疾患や脳血管疾患は、高血圧・高脂血症・糖尿病などの生活習慣病、喫煙、遺伝素因などがリスク要因と判明しています。また癌でも部位によりますが、喫煙や遺伝素因(いわゆる癌家系)などのリスク要因があります。


ですから、不幸の宝くじに当たらないよう、まず(1)生活習慣病が起きないような食事と運動の管理、(2)禁煙が重要です。


これらによって各種疾患の発生率は0になる、とは言いませんが相当に減じることが出来ます。そして、(3)万が一病気が発症した場合の早期発見のために検診を欠かさないことで二重にヘッジをかけます。癌は根治出来る早期の段階で見つけなければ手遅れとなることが多いため、このリスクヘッジも重要です。


なお、先ほどの五大死亡原因の肺炎は加齢による誤嚥性肺炎が多く入っており、老衰の部分現象の面も含まれますから、そういった病態は予防困難です。


私は生命保険は解約しています。


自分が死んだ際にしか利益が確定せず、しかも多くの場合損失が確定した金融商品を買うよりも、そこに投じる資金を人間ドックや検診に投じ、また生活習慣の管理を徹底することでリスクを減じた方が理に適うと思うからです。また、解約により余剰資金が生じますので、投資資金まで増えるということになります。


しかし、例えば生活が家族一人の収入に依存しているなどの場合は、その方の病気や死亡により家計が一気に破綻することとなりますので、損を被る可能性が高い場合でも生命保険等に加入する必要性は出てくるかと思います。


既往歴(今までの病気)や家族歴(癌や心血管病が多い家系など)の要因、五大死亡原因以外の疾患といった要因等で統計学的な最適解は個々人で異なると思います。また生命保険には安心感を買うという面もありますので、人生観とも関わる問題と思います。かかりつけの医師などとも相談頂き、リスクベネフィットを自己判断頂いた上で、検討して頂ければと思います。


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