ここ最近の同銘柄の株価は低調に推移し、近年の市場の関心はFANGと呼ばれるIT銘柄に移っているようです。移り気な市場の判断は正しいのでしょうか。
今回は市場に取り残されたグロース銘柄、ナイキを考察していきたいと思います。
ナイキはスポーツ関連用品を扱う世界最大規模の企業です。その主要製品は売上の60%を占めるフットウェアとなっており、アパレルが残りの30%超を占めます。売上の40%が米国、10%が中国となっており、世界の約190ヵ国で販売を行っています。
グローバルなスポーツ用品メーカーはナイキとアディダスが双璧となっており、これには新規参入には莫大な広告費が必要となる点が一つの理由として挙げられます。
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5年間の株価チャートでは、好調な業績を背景に2015年に最高値(PER 34倍)をつけた後、現在は18%の下落を来しPER 21.9倍で取引されています。
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同社の業績を見ていきます。EPSは年13%の成長率です。
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ROEは平均23.5%と良好な水準で推移しています。特にここ数年は市場の懸念と相反して、更なる伸びを見せて推移しています。年次報告書の他の数値も概ね問題が見当たらず、一流企業に相応しい財務状態と考えます。
これほどまでに順調なナイキの株価が下落するのは何故なのでしょうか。
少し古い記事ですが、Bloomberg 2016年3月23日の記事を引用します。「来年度の業績見通しがアナリスト予想を下回り業績懸念が広がった。ナイキは次年度の利益予想を10%台前半と発表した。アナリストの予想は15%増。ナイキ株は一時期5.8%安で取引。」
好調とは言え、市場が求める更なる高水準に届かないこと、そしてアディダスやアンダーアーマーとの競合の激化による、成長の鈍化懸念が同社を覆っていることが低調の原因となっています。
グロース銘柄ではその順調な成長を市場が過大に織り込み、価値と乖離した価格を付ける特性があります。本質的価値とかけ離れた価格はいずれ調節を受けます。概ね、(1)景気後退、(2)企業自体の構造的問題の出現や成長の限界、(3)不祥事などの悪材料の出現、(4)過剰に上昇した株価の自然下落などでその価格下落を見ることとなります。
さて、市場が求める利益水準には満たないとは言え、既に市場平均PER 24.2よりも低調な同銘柄は、魅力的にも見えます。
バリュー投資家はこのようなグロース銘柄の価格低迷時に、どう対応すればよいのでしょうか。
市場の懸念に反して好調な業績を続ける、ナイキの本質的価値に関して次回は考察していきます。
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