持たざる国の交渉カード 北朝鮮サイドから見るミサイル






また今朝は、Jアラートを目覚まし代わりにたたき起こされることとなりました。


札幌在住の身としては迷惑な限りだな、と妻子とぼやきつつ朝から飲料水その他をストックした地下室に避難していました。しかし今回は北朝鮮もICBMの燃料注入を開始したと、親切にも昨夜から教えて(?)くれていましたので心配も少なかったですね。間違って途中で落下すると本当に紛争を起こしかねない関東や西日本を避けて、人口過疎地帯を狙うミサイルからも北朝鮮の本意をうっすらと感じます。


さて、市場に買い場を提供してくれた一連の北朝鮮騒動ですが、市場も慣れてしまったのか、今回は為替相場も円高にはあまり大きく振れず、ミサイルはいよいよトランプと金正恩の口論合戦の延長線、政治カードとして見せあう道具となってきました。


先日もお伝えしましたように、北朝鮮はあくまでも体制維持に有効な唯一のカードとして、今後もミサイルを今後も活用し続けるだろうと思います。


まず第一に、北朝鮮というより金一族には石油の制限、その他経済制裁はあまり効果はないでしょう。経済制裁で本格的に影響を受けるのは、北朝鮮の国民ですが、同国の国民が大飢饉で大量に餓死していたときも、意に介さなかった同国からすると経済制裁が本質的に同国に影響を与えることは困難でしょう。


更に、石油制限は本気で北朝鮮の崩壊を望んでいない中国とロシアからすると、それを本気で実施するかどうかは甚だ疑問符がつくと思います。中国からすると、同国が崩壊すると大量の難民が発生するという身に迫った経済上の問題が発生しますし、地政学的にも米国との緩衝剤がなくなる訳です。「生かさず殺さず」制裁を続けるのが今後のシナリオだろうと見ます。


ロシアからしても、「何故、既に米国から経済制裁されているわが国が協力する必要があるのか!勝手に立ち回らせてもらう!」というのが本音でしょう。米国と中国への外交カードとして、やはり同国に支援を続けるでしょうね。


そしてまだ若く、実績が少ない金正恩からすると、ここは米国の圧迫にも折れなかったということを国内外に示す大舞台ですから、トランプが煽るほどに、北朝鮮はある意味喜ぶこととなります。


長期的に見れば、短期的な経済制裁によるデメリットよりも、(1)体制維持のために金正恩の実績をつくること、(2)核というカードを保有することが同国即ち金一族にとっては優先事項です。北風と太陽よろしく、経済制裁を行ったからと言って、必須かつ唯一のカードであるミサイルを手放すはずはありません。そしてまた確実に体制の破局に至る実際の使用に至るはずもないでしょう。


下手につつくよりも、君子危うきに近寄らずといったスタンスが、日本の近所付き合いとしては最善の手段だと思います


また、実は一番今回の騒動で得をしたのは安倍首相かも知れません。この騒動で国内の加計問題などが一気に吹き飛び、支持率はV字回復、また彼の悲願である憲法改正問題も近づくことになります


外遊先のインドでも水を得た魚のように北朝鮮騒動をPRしていますから、内心は「政権の危機に幸運なことだ、ラッキー♪」といったところではないかと思います。


結局、損をしたのはトランプと韓国政府のみという結果でした。今回の騒動では、米国がいくら騒いでも北朝鮮は絶対にミサイルを放棄しない、そしてソウルを火の海にする可能性がある以上、手出しも出来ないということだけが強調され、また、THAAD問題で中国からの経済制裁を受けた韓国はとんだとばっちりということになりますね。


今後もまだ恫喝合戦は折に触れて続くでしょうが、新たな材料に乏しければ、市場に与えるインパクトは次第と減じていくと予想します。


そして、次にMrマーケットが気にし始めるのは、米国の決算と、FRBの資産縮小、中国の共産党19回全国代表大会になるのでしょう。



次回予告です。


北朝鮮騒動の市場へのインパクトは次第と小さくなってきたように思います。新しい材料が無ければこの問題は終了して、いよいよ明日はメジャーな個別株、(エクソン・モービルの投資判断 石油帝国の落日 日はまた昇るのか)をお伝えしたいと思います。原油安に影響された安値により、バリュー投資家の方は気にされている方もおられると思う同銘柄ですが、今回はグレアム投資の考え方を用いて同銘柄の清算価値を評価していきます。よろしければご覧下さい。


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