崩れる堀 食品株にも吹くハリケーン




8/31の市場でキャンベルスープ(CPB)は8.06%安で引けました。


前四半期の決算で売上・EPSともにアナリスト予想に届かなかったこと、2018年度の決算も業績は横ばいに留まるとの発表が失望売りを誘ったためです。


最近は食品銘柄の値崩れが目立ちますね。同社に限らず、食品銘柄をホールドしている人の間では、ちょっと気になるな、パフォーマンスが落ちているなという人も多いのではないでしょうか。


食品銘柄の代表格である同社は、(1)ミレニアル世代を中心とした食生活の変化による業績の下振れ、(2)ウォルマートを始めとした大手ストアのプライベートブランドとの競合の懸念、(3)アマゾンやディスカウントストアとの価格競争により、食品小売り店が閉店と統合を繰り返し在庫が過剰となる業界事情、(4)同社の株価がPER30倍以上と過剰な高値を付けていること、(5)利上げにより米国債の利回りが改善しディフェンシブな性質を持つ銘柄の魅力が相対的に減じることなどが相まって、売りの集中砲火を浴びたようです。


同社の主力製品はスープやジュースなどですが、アマゾンによる逆風が吹きつける食品業界の中にあって、特にその影響を強く受けると市場関係者からは見られています。


最近、食品株をホールドされている投資家の方では、こういった懸念によるセクター全体の売りで自分の食品株も大きく売られ、成績低下に悩んでいる方も多いと思います。



ベンジャミン・グレアム、ウォーレン・バフェットの投資に共通する点として、衰退産業には手を出さないというものがあります。


バフェット自身が繊維会社バークシャー・ハサウェイや、百貨店買収に手を出し、前者は保険と投資会社への業態転換を必要とし、後者は売り抜けるまでに散々な苦労をしたとのことです。


彼曰く、「楽しかったのは買った時と売った時だけだった」とのことでした。


強大なブランド力・知名度を誇る米国のオールドブランドの食品株でも、消費者の嗜好自体が変化してしまえばやがて堀は失われるだろうと私は思います。食品株に投資していれば安心という色眼鏡を外してみてみる必要はあると考えています。


かつて盤石なブランドだったコカ・コーラも炭酸飲料離れに苦しんでおりますし、ケロッグのシリアルやキャンベルの缶スープなども今後売上低迷が長期化する可能性があります。もしかすると堀が失われる最初の段階を見ているのかも知れません。


とは言え、食品銘柄の全銘柄が吹き飛ばされる訳ではありませんので、消費者の嗜好に合うオーガニック食品や健康飲料などを主として堀を築いている銘柄、或いはトレンドに左右されないジャンルを主力商品にしている銘柄を選ぶのが重要でしょう。


またこれは食品株のみならず、アマゾンショックにより現在大きく売られている小売業全体にも言えることだと思います。


私の場合は、お洒落ものでない昔から消耗品としての下着でNo1シェアを保っている下着メーカーのヘインズ・ブランズ、冷蔵加工肉食品を主力とするホーメル・フーズに集中投資を行っています。興味がある方は連載中の「ヘインズ・ブランズの投資判断」も参照いただければと思います。


企業として堀が保たれているのであれば、売り場が小売店からEコマースに代わったところで何の影響もありませんし、セクター全体の売りは寧ろバーゲンセールだろうと嬉しく思います。


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