台風一過、本当に見晴らしは晴れたのか 今後の市場リスクを考える




ハリケーンが過ぎ去って、まさに台風一過(台風ではないですが…)、市場の見晴らしは一気に晴れました。米国市場、日本市場ともに一気にその値を回復し、ふたたび円安へと振れています。


しかし米国経済はファンダメンタルズ自体が好調ですので、市場の調節によるサマーバーゲンはやはり短いものでしたね。皆さんこの間に株式の買い増しは出来ましたでしょうか?


さて、リスクシナリオのいくつかは後退しましたが、躁鬱病の傾向のあるMrマーケットのことですから、また一気に再度の下落局面に入る可能性もあります。今回は今後の短中期的なリスクを考えていきます。


私が考える主なリスクとしては、(1)北朝鮮リスク、(2)突発的なテロのリスク、(3)中国の金融政策変更にかかるバブル破綻リスク、(4)FRBの資産縮小になります


(1)に関しては国連安保理で北朝鮮への石油輸出の縮小、繊維製品の禁輸などがロシア・中国の譲歩もあって決議され、それに北朝鮮が新たな軍事挑発行動にまだ出ていないことを併せて市場の危機感は後退しています。


先日からお伝えしていますように、北朝鮮は体制維持が今までの行動の主目的でしょう。本音は「わが国のことは放っておいてくれ!」といったところだと思います


しかし、政治的にはいずれも自国から折れる訳にはいかない理由がありましたので、限定的ながら石油制限に踏み切ってメンツが立った米国と、水爆実験をしてメンツが立った北朝鮮のいずれもこの当たりで手打ちにする状況は整ってきているのではないかと考えます。


但し、ロシアと中国の協力なしには北朝鮮への制裁は不可能、且つロシアと中国は北朝鮮問題を米国への外交カードとしても用いていますから、石油輸出は米国を「だましだまし」行うのではないかとみていますし、同国を生かさず殺さず国際政治のカードとして用いるでしょう。そして今回の騒動で漁夫の利を得たのは外交上のプレゼンスを高めたロシアでしょうね。


トランプがまた騒ぎ出して問題に火を付けないことを、日本国民としては願います。


(2)の突発的なテロのリスクは非常に問題です。欧州各国でテロが頻発していますし、例えば米国の原発や地下鉄で生物兵器が用いられた場合には、天文学的な被害が発生してしまいます。


バフェットは「米国経済は今後も大丈夫。ただ気をつけるべきはABC兵器だよ」とかつて言いました。


世界最強国家の米国を正規軍の軍事力で屈服させることや、リーマンショックでも破壊されなかった同国の経済を破壊することは困難ですが、もし米国を破壊するものがあるとすれば、おそらくそれは少人数でも可能なテロ、特に原子力施設に対するテロや、化学生物兵器を用いたテロではないかと危惧します。


このブラックスワンの可能性は常に私は念頭に置いています。


そして中短期のリスクで最も重要と考えるのは、(3)中国のバブル破綻、(4)利上げ局面かつFRBの資産縮小が近々始まるためその懸念によるボラティリティの変動です。


中国の中国共産党第十九次全国代表大会が10月中旬より開催され、習近平への更なる権力掌握が目されています。


中国の政策変更により、同国の金融市場が強い変動を受けるのは、最近のビットコインへの取引所閉鎖やICO規制、またChina shockの際の株の売買規制を見ても記憶に新しいところです。


党大会終了後に、以前から進められてきた不動産価格高騰への規制や、人民元下落への規制、外貨流出規制などがより一層強力に行われる可能性もあり、中国の不動産バブル破綻による中国発のブラックスワンが飛び立つ可能性も、私は念頭に置いています。


最後にFRBの利上げと資産縮小です。こちらは、基本的に米国経済が堅調であるからこそ資産縮小に踏み切る訳ですから、一過性の景況感の冷え込みは、むしろバブルを抑制するものとして狙い通りの効果が出たともいえます。もしその間に上記の他のリスクが重なるなどがあった場合は、FRBが資産縮小は一旦やめます!といってしまえば解決する問題でしょう。



雨が上がるも、まだ霧は完全には晴れないという市場ですが、個別株投資家としては、株式のファンダメンタルズ、そして確保している安全域を手掛かりに一歩一歩歩いていきたいと思っています。


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