さて、前回はマクドナルドが、消費者の嗜好変化や、同社の商品が肥満や健康に悪いなどの悪評といった逆境を跳ねかえし、業績を反転させつつあることをお伝えしました。
ミレニアル世代を始めとした新しい世代の台頭により、米国のアパレルや食品業界などでは構造変化が進んでおり、かつてのオールドブランドは苦戦を強いられています。その中でもマクドナルドはいち早く業績を立て直しつつあるようです。
そんな強固な「堀」を持つ同銘柄の安全域を今回は考察していきます。
私は投資に当たり、メアリー・バフェットの方法を用いて10年後の予測株価を求める手法を取ります。
本銘柄は過去10年のEPS成長率が11.9%でした。現在の成長率が続くとすれば、(EPS成長率)^10を現在のEPS に乗じ、10年後のEPSは16.7となります。これに過去10年の最低水準PER 15.2を掛けると、10年後の予測株価は254.0となります。
算出される最低予測利回りは年4.6%です(配当除く)。同社の過去10年の平均配当率は年3.0%程ですので、現状の価格ですと予測リターンは年7.6%程となります。
これはまずまずの水準と思います。
しかし残念ながら、好調な業績を反映して市場の人気が集中しており、現況の投資は最低利回り10%というメアリー・バフェットの基準を満たさず、十分な安全域は取りがたいと私は考えます。
更に、同銘柄のバリュエーションは現在PER 26.5倍、PBR (債務超過のため評価不能)となっています。私見を述べさせて頂きますと、私の投資範囲はPER 15-20倍程度までです。私はこの点からも、本銘柄は現状では投資対象と考えていません。
これは将来的に政策金利が4-5%に上昇した場合に、同時に上昇する米国債の利回りの圧力に株式が耐えられない可能性を考慮するためです。
一般的に株式では、PER 20倍では20年先までの利益を織り込んでいると考えられます。つまり理論的には期待利回り(1/PERで表されます)5%が株価に期待されている訳です。
しかし、いったん相場の下落局面が訪れると、その時の企業の業績にも寄りますが、同じ5%利回りの資産を比較すると、無リスク資産の国債がより魅力的となります。従って国債に資本は集中し、株式は相対的に売却されることとなります。
そのため理論上も私が投資するのはPER 15-20程度(期待利回り5-6%程度に相当)までですし、また実際に市場を見まわしてみましても、PERが20 → 25 →30倍と上がるにつれ安全域を確保できる銘柄は殆どなくなります。
ウォーレン・バフェットが、PER 20倍以上の銘柄を殆ど新規購入しないことも私は上記の観点から納得しています。
同銘柄は正に米国を代表するといってもよい優れた銘柄です。しかし購入にあたっては、市場の熱が冷めるのを何年か待とうと私は思うのです。
上記の、個別株のPERの購入上限に関しては、「バリュー投資の指標の見方(1) PERの意味を追う」にて私見をお伝えさせて頂いております。よろしければご参照下さい。
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