しかしながら、10数年前の研修医時代は体重は80kgくらいと立派なメタボでした。
久しぶりにスーツでも着ようかなと引っ張り出してみると、当時着ていた服はもはやまともには着られません。ケチケチな私としては泣く泣く、スーツ数着を処分する羽目になりました (´;ω;`)。
私とダイエット
しかしながら張り切って、妻にダイエット成功の戦果を報告してみます。私「ダイエット成功。痩せたらちょっと格好良くなったでしょう?キリッ (`・ω・´)。また、惚れてしまってもいいんだよ?」
妻「あ゛あ゛?」
私「!!?」
妻「それでアタシに何か得があるって?スーツの仕立て直しで余計にお金がかかるんだから、下手にやせるんじゃないわよ。」
情け容赦のない妻のコメントでした。妻も医師ですが、白衣の天使などこの世にはいません。
さて、それはともかく、今回はいつの世も女子の注目の的、ダイエットに関してのお話です。
ダイエットには(1)美容面の効果、(2)健康面の効果が多く語られます。今回はちょっと立場を変えて医師の立場から、(3)経済面の効果もお伝えしますね。
ダイエットの経済効果
ファッションショーなど見ると、引き締まった体型のきれいな方がたくさん出てきますね。まぶしいなーと思っていつも見ています。大変な努力をして体型を維持されているのだろうと思います。
適切なダイエットは、過食・過栄養により生活習慣病に陥りがちな現代社会にとって美容面や健康面で良い効果をもたらします。
しかし、もう一つの効果、健康寿命の延長による生涯医療費の抑制について考えている方は少ないのではないでしょうか。
日本人の5大死亡原因は(1)悪性新生物(癌)、(2)心疾患、(3)肺炎、(4)脳血管疾患、(5)老衰となり、これらで死亡原因の70%程度を占めます。
つまり、これらの死亡原因にかからないように最大限注意を払えば、相当に健康寿命が延びることが期待されます。
(2)心疾患、(4)脳血管疾患はその多くが生活習慣病の高血圧・高脂血症・糖尿病などの進んだ結果です。そのため、適切な食事と運動によるダイエットでその可能性を格段に減じることが出来ます。なお、癌に関しては適切ながん検診や禁煙などが重要となります。
様々な報告がありますが、10%の体重減少により、寿命が2-7ヶ月増加し、生涯医療費は2300-5500ドル減少したとの報告があります ( Am J Public Health 1999, 89:1536-1542.)。
つまり、ダイエットは、投資や貯蓄と同様に老後に備えての経済効果も期待できます。
あくまでも私の経験ですが、私の外来でも、食事・運動指導を厳密に守ってもらった方では、そうでない方と比べて効果の差は歴然です。
何千何百という患者さんの中でも、食事・運動療法を言う通りに厳密に守ってもらった方で致命的な脳卒中を起こしたなどという方は私の経験上、片手で数えるほどです。逆に肥満患者で複数の生活習慣病をお持ちの方が、食事・運動療法を全く守らず、その後60歳代 → 70歳代 →80歳代と何事もなくご健在だったという例はあまり見ません。
皆さん、失って初めて健康のありがたみを仰られます。経済コストの面だけでなく、是非ご自身のために、是非ダイエットで適切な体重を維持することをご検討下さい。既に病気をお持ちの方などはかかりつけの医師とも良く相談の上でご検討頂ければと思います。
そういえば、冒頭の続きですが、後から妻よりもう一言ありました。
妻「また太ったら洋服仕立て直しでしょ。太ったら、コロスよ(笑顔)。」
再度太ることには、危険を感じます。ただ有効性からすると抜群の生活指導ですね。
妻は、もしかして自分の外来でもこんな鞭で叩くような、スパルタ式の生活指導をしているのでしょうか?いや、そんなわけはないか・・・。
今日はそんな一日でした。
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