米国株に比べて日本株ではたくさんの株主優待があります。
米国株にもしあれば、コカコーラやP&Gの製品ならばぜひ毎年もらってみたいところですね。私の場合だと、ホーメルフーズのSPAM缶が大量に送られてくることになりそうなので勘弁願いたいところですが(笑)。
最近は書店の一角に、株主優待の攻略本(?)が所狭しとならび、知り合いの主婦の方ではその研究に余念がない方もおり、実家に帰るとANAの株を株主優待目的に買ったのよ♪と母親まで言い出す始末です。リーマンショック後から考えると隔世の感があり、投資も市井で流行ってきているんだなと思います。
今回はそういった株主優待のメリット、そしてデメリットを考察します。
本邦特有の文化、株主優待
株主優待は欧米ではその慣習は無くほとんど日本だけで行われている制度です。日本では3685社の上場企業のうち、1307社が実施しており、自社製品や自社サービス、時にはその企業と関係のない金券などが優待内容となっています。
試しに、書店の株主優待本をパラパラとめくって、読んでみました。するとこう書いてあります。
銘柄A:驚異の還元率!配当金と株主優待の美容品を併せて4%相当の還元!
銘柄B:旅行に便利!配当金に加えて旅行券が付いてくるおすすめ銘柄!
ひたすらお得と消費者を煽る内容こそあれ、本来そこにあるべき、財務諸表や企業業績の今後にかかる考察、そして肝心の株主優待の持続性に関する考察などもほとんど記載されてはいません。
株主優待の問題点
まず問題点の一つ目は、株主優待の一見お得に見える撒き餌につられ、初心者の方がファンダメンタルズを無視した投資ではない、いわば投機に走ることだと思います。
その銘柄のファンダメンタルを無視した株主優待目当ての株式購入で私が思い出すのは、以前の日本航空です。放漫経営の結果、破綻に至った同社ですが、最後まで優待目的の株式を保有し続けていた方の悲哀を今でも思い出します。
問題点の二つ目は、やがて来る景気循環の谷により多くの日本企業では配当と同時に、株主優待も停止されることです。実際にリーマンショックの時には多くの企業が優待を停止することとなりました。
問題点の三つ目です。そうして損失を出した初心者の方は、やはり株式など手を出すべきではなかったと考えることとなります。それにより個人の株式投資が障害され、個人から企業への資金供給という正しい投資の役割が果たせなくなることです。そして優待が良い一見「お得」な企業の株式には、極端な高値が付くなど市場機能が歪められることも問題です。
お得とは言い難いその内実
十分にファンダメンタルズを分析した上で、優待も配当の一種と考えて投資を行う分には優待は問題ないと思います。しかし、現状のように初心者までが優待目的に株式購入を行うとなると、個人と企業の金融の在り方を考える上で、私は優待制度には懐疑的です。行うとすれば株価の0.5%相当/年までと、国が基準を設けるなども検討するのも一手ではないかと思います。
そして根本的に、こういったことに惑わされないための、日本での金融教育の必要性を思うのです。
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