絶好調の景況下、フルインベストメントの是非を問う






米国経済が堅調です。


10月2日に発表された9月のISM製造業景況指数は60.2と、めったに見ない60台の大台を付け、2004年5月以来13年ぶりの高値を付けています。


また、税制改革への楽観的な見通しを受け、S&P500種は連日過去最高水準にあります。


今週発表の雇用統計はハリケーンの影響で、雇用の伸びは鈍化するとアナリストに予想されてはいるものの、米国経済のファンダメンタルズの好調さを考えると、ハリケーンと同じく一過性であることが予想されます。


例年、年明け以降の、特に1月の米国市場は統計学的に高いリターンをもたらすことが証明されているため、絶好調とも言える米国経済は、このまま高値を追う展開が予想されます。


こういった好調な相場では、誰もが全資産を株式に投じるフルインベストメントが脳裏によぎると思います。


フルインベストメントのメリットとしては、過去100年間において株式のリターンが他クラス(キャッシュ・債券)の資産を圧倒的に上回った結果から、一部資産をキャッシュや債券などで保有する場合と比べて、今後も投資リターンの最大化が期待できることが挙げられます。


そのデメリットとしては、(1)資産の変動率(ボラティリティ)が短期的に高まること、特に個別株投資では投資先企業のファンダメンタルズが不調になった際などには長期的にもボラティリティが高まる可能性があること、(2)やがて来る調節局面や低金利といった絶好の買増し機会で、株式買い増しが十分に行えない機会損失が起こることが挙げられます


フルインベストメントの弱点 ボラティリティ


まずは(1)を考えます。


長期的に見れば株価が他のクラスの資産を上回っているのは、株式全体、或いはセクター全体での話です。


個別株において、例えば10年以上、市場平均をアウトパフォームし続ける企業を探すのは容易ではありません。


石炭産業や繊維産業のように、企業のファンダメンタルズが時代とともに変化すること、そして我々投資家自身も見立ての間違いを起こす可能性は常にあることから、1-2つ程度の企業に長期間に渡ってフルインベストメントを行うのは、ある程度の危険性を伴うと考えます。


私はフルインベストメントの戦略は、今後株価の上昇が高い確率で約束されている、つまり常に買い場といっても良い、米国市場平均に連動したETFに限っては有効と考えています。或いはセクターを幅広くとった分散投資ならば(IT、金融、小売、石油etcなどの個別株を同時に保有するならば)有効でしょう。


個別株投資においては、最低でも3銘柄への分散は必要と考えています。現在の私のポートフォリオは3銘柄に集中したものとなっていますが、出来れば更に他の銘柄にも投資を分散させたいと思っていますし、十分な安全域がとれる銘柄が出てこなければ、VTIなどのETFを買増ししていく予定です。これ以上、キャッシュ・債券比率を下げて、現在保有している銘柄に集中投資を行う予定はありません。


フルインベストメントの弱点(2)  投資の機会喪失


また、下落相場や低金利下といった絶好の株式への投資局面で大きな買い増しができないことも大きな問題です。


高金利下かつ株が高騰した場合、特に株式が高騰しきったリーマンショックやITバブル時などの状況では、株式から資産クラスを米国債に切り替えることは当然考慮に挙がりますし、それによりその後の下落相場で株式の買い増しが可能となります。


時々の市況に応じた資産のクラス配分は必要です。


2015年のチャイナショックのように、中国発の調節局面や、大規模なテロ(特に原子力関連施設など)による突然の下落相場の可能性は常にあります。高値相場ほど、突然のブラックスワンが生じた場合の反動は強いことが予想され、私は個別株投資家として、その備えとして流動性の確保は常に持っておくべきと考えます。


リーマンショック後の最悪の下落相場、いわゆる絶好の買い場でもバフェットは総資産の15%以上の流動性を確保していましたし、彼は過去には金利に応じて15-40%を流動性として保有しています。私もバークシャーのポートフォリオに倣い、現在、資産の19%を流動性の高いキャッシュ及び米国債としています。


かつてウォーレン・バフェットは、「チェスやブリッジでは、思考がエネルギーの消費と教えられた相手を持つのは有利なことだ」と言いました。


フルインベストメントの問題点は、投資家自身が金利などの市況、そして他資産クラスの投資に関して、いわば思考停止状態になってしまうことにもあると思うのです


私の投資


まとめますと、(1)キャッシュ・債券を時々の金利に応じた比率で最低限保有し(バフェットに倣うならば15-40%)、(2)その上で個別株投資ではせめて3銘柄以上への分散投資を行う必要があるだろう、(3)但し、ETF(VTIやSPYなど)においてはフルインベストメントも考慮してよいだろう、ということが結論です


やはり、適時割安株をファンダメンタルズから評価して、適切な割合で保有するというバフェット投資のスタイルが私にはしっくりきます。


出来るだけ多くの資産を株式に振り分けつつ、狙った個別株の下落局面で買い増しを続ける、このスタイルを今後も続けようと思うのです。


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