ドットコムバブル崩壊とブロックチェーンバブルの崩壊





仮想通貨とブロックチェーン技術の、その無限の可能性に市場は沸いています。


10月26日、英国のIT企業、オンラインは社名をブロックチェーン・オンラインに変更すると発表しました(10月30日付のBloombergから引用)。


同社はブロックチェーンに関する技術の開発はまだ初期段階であるとの資料を発表したものの、その株価は238%高まで一気に跳ね上がり、2005年以来の高値を記録しています。


また米国のバイオプティクスも、10月、社名をライオット・ブロックチェーンに変更すると発表し、数日で時価総額が倍近くに膨れ上がりました。





米国株とドットコムバブル


未来は過去の相似形


この状況を見ると、私はある状況を思い出します。今より約20年前、ドットコムバブルと呼ばれた時代です。


1990年代後半に、インターネットによるeコマースの可能性が現実化しつつあり、それにより既存のビジネス・モデルを将来的に揺るがすのではないかという懸念が次第と市場を覆いました。


98-99年の低金利状態もこの時期に重なり、インターネットに関連したベンチャー創業資金や投資資金に多額の投資が行われることとなります。


当初は懐疑的であった経済学者や投資家も、膨らみ続ける株価を数年間見続けるうちに、次第にこういった状況を「ニューエコノミー」と呼び、もてはやすこととなりました。


最終的には、大学を卒業したばかりの冒険起業家たちが、何を書いているのかも分かりがたい専門用語で書いた企画書を提出すれば、その実現性が殆どなくとも、多額の資金が調達できるようになりました。


バブル崩壊と夢破れた代価


その顛末は皆さんもご存知の通りです。


バブル崩壊のパターン通り、FRBの利上げにより株価は急激に下落し、2001年の同時多発テロも相まって、NASDAQはその後長期低迷の歴史を辿ることとなります。


※NASDAQ長期チャート


今は絶好調に見えるNASDAQもつい最近までは、万年の「負け組」だった訳ですね。


NASDAQは1998年から2000年にかけてバブル特有の急激な高値を付けた後に、バブルは崩壊、長期の低迷に転じ、その高値を回復するのには2015年までの15年間を必要としました。


米国株とブロックチェーンバブル


バブルの際は、上下動を繰り返しながら株価が上昇を続け、それ以上の資金が流入しなくなった際に、その臨界点を迎えます。


※BTC USDチャート


ビットコインのチャートを見ると、これ単独では実に魅力に満ちたものに見えますね。


ですが、このチャートを見る際には前述のチャートの顛末も思い出しつつ見るのが重要かと思います。


バブル崩壊の後の米国株


テクノロジーバブルの勝者は消費者のみ


2002年以降、多くのITベンチャーは破綻に追い込まれ、2002年のIT関連失業者は米国で56万人に達しました。Google, Amazon, eBayなど一部の企業はこの不況を生き残りましたが、その陰には多くの敗者がいたことは、市場の記憶からは消えつつあります


一般に新規のテクノロジーのバブルによって大量に投じられた資金は殆どが非効率的な運用により散逸し、利益を得るのは、創業者及びごく初期に投資を行ったわずかな投資家、そして一部の残った「勝ち組」企業による恩恵を受ける消費者ということになります。


現在のブロックチェーンバブルも、将来は投資家が見る夢、つまり仮想通貨がドルを駆逐し、全ての決済が電子的に瞬時になされる夢が実現するかも知れません。


しかし思い起こせば90年代のバブルで投資家が見た、eコマースが実店舗を駆逐するという期待は、20年の時を経てようやくAmazonがその端緒についたところです


ブロックチェーンが世界を変えるとしても、恐らく多くの仮想通貨が駆逐され、その中でも市場原理に適うものが残るのだろうと思います。


つまり決済速度や手数料といったハード面、またセキュリティーや各国の中央銀行や法的規制との親和性など、様々な条件を満たした仮想通貨の中での「勝ち組」がその勝利の果実を手にするのでしょうし、それがビットコインなのかその他の仮想通貨なのかは私には分かりません。そしてそこに至るまで実現に長い期間を必要とする可能性もあるのでしょう。


バリュー投資の立ち位置


いつの時代も、バブルの極期を除けば、比較的に割を食い安く売られるセクターはあるものです。


現在でいいますと、先日までミニバブルに沸いていた食品や小売りセクターを考えますし、電気自動車の脅威が語られる自動車セクター、また低金利により長らく利益率の低下に苦しむ金融セクターもそうだと思います。


私見を申しますと、現在はこういったセクター購入の良い時期と考えますし、本四半期でも私は買い増しを続けています。


バリュー投資では短期の利益を犠牲にしても、将来の種まきを行うことが必須ですし、特にこういった時期は周りよりもリターンが落ち込むことが多いためつらい時期ですね。


最後に一つ、もし私がブロックチェーンに関連した銘柄ないし仮想通貨を購入する場合には、以下の言葉を参考にしたいと考えます。


「これらのうち、いくつかの銘柄は素晴らしい買い物になるかも知れない。株価が十分に下落し、誰もがその存在を忘れ、放置されるときが来れば。(ベンジャミン・グレアム 賢明なる投資家より)」


同じことを繰り返し言うようで大変恐縮ですが、待つこと、何を購入するにしても、こういった市況ではそれが最も重要なことだと思います。


スポンサーリンク



スポンサーリンク


0 件のコメント :