VTI・ダウ平均・S&P500のETFの違い(1)  バリューから見るETFの最適解





米国投資家の誰もが知る、代表的な市場平均がS&P 500指数です。


このS&P 500指数は1957-2003年にかけて年率10.85%のリターンを生んだことで知られ、かのウォーレン・バフェットも自身が死去した後は、S&P 500指数に連動したETFに資産の大半を投じるよう遺言に残すほどに好業績を生み続けている、まさに米国を代表する市場平均指数と言えます。


この指数に連動するETFとして、(1) SPY (SPDR S&P 500 ETF)、(2) VOO (Vanguard S&P 500 ETF)、(3) IVV (iShares Core S&P 500 ETF)があります。


またこれとは別に、米国市場(大型・中型・小型株)の99.5%をカバーするETF、VTI (Vanguard Total Stock Market ETF)も多くの投資家の投資対象として知られます。


そして、NYダウ (DJIA) に連動するETF、DIA (SPDR ダウ工業株平均ETF) も前者に比べると最近はやや不人気ながら、古参の伝統的ETFとして知られています。


米国株投資を初めて行う方や、個別株のリスクをなるべく減らしてリターンを取りたい投資家の方にこれらのETFは大変に人気ですが、どのETFがより優れているのかその選択に悩む方も多いと思います。


本シリーズではこれらのETFの中でどれが長期の投資対象として適切なのか、私の考えをお伝えしたいと思います。


米国株式市場でどのETFが優れるか


ちなみに過去のリターンや経費率から比較して、VTIないしS&P 500に連動するETFが最もリターンに優れたETFということは多くの投資家の間で一致していることかと思いますが、当ブログの最適解はこれとは少し異なります。


結論を先に言いますと、VTI ≒ ダウ平均 > S&P 500の順で、過去の実績に優れ、そして今後も長期的にリターンの差を生み続けるだろうことが、本シリーズの結論です


なお、既に判明している各々のETFの経費率や過去のリターンなどの事項だけを並べるのではあまり当ブログで取り上げる意義がないようにも思いますので、なぜVTIやダウ平均が理論的にリターンに優れるのか、そして今後もそれらがS&P 500指数に比べて安定した利益を挙げ続けるだろう根拠、そして各ETFの使い分けに関しても考察していきますね




S&P 500指数連動ETF(SPY, VOO, IVV)


S&P 500指数に連動する各ETFの特徴は下記になります。


SPY:経費率0.09%, 1993年から開始と最も古く流動性が巨大
VOO:経費率0.04%, 2010年開始と日が浅い
IVV:経費率0.04%, 2000年開始


SPY vs. VOO vs. IVVで2600億 vs. 800億 vs. 1400億ドルと流動性の違いこそあれ、ほとんどいずれもETFもベンチマーク(基準となる指数)からのズレは無く、長期的なリターンもSPYが経費の違いを反映してわずかに劣るのみで、どれを購入してもほぼ違いはないと思います。


※SPY vs. IVV, 2000年からのチャート。Yahoo Financeより引用。


実際にチャートを見ると、違いは殆ど分かりませんね。SPYとIVVの2000年からの長期成績では(VOOはまだ2010年の設定から日が比較的浅いです)、SPY vs. IVVは88.9% vs. 86.6%と17年もの比較を考えるとその差はごくわずかです。


この差の多くは前述の経費によって生まれたものだと思いますので、利回りをより追求したい方はIVV・VOO、長年に渡り解散に至らず用いられ続ける、流動性が高いETFという実績に重きを置く方はSPYという判断で良いのではないかと思います


VTI


それでは次にVTIを見ていきます。


VTI:経費率0.04%, 2001年開始, 純資産は900億ドル, 3600銘柄以上を含み米国市場の株式の99.5%をカバーするETF


経費率の低さ、流動性の高さ、そしてETFの中でも長期間に渡ってETF解散に至らず継続している実績(特にリーマン・ショックを挟んでの実績)は非常に優秀だと思います。


それではS&P 500指数とVTIを比較してみます。


※SPY vs. VTI, 2001年からのチャート。Yahoo Financeより引用。


VTIがS&P 500指数に圧勝していますね。


リーマン・ショックという世紀の恐慌を挟んで、かつ16年という長期の結果を踏まえてこのリターン差ですので、短期の誤差の範囲ではない何らかの根本的な差がここにはあるだろうことが推測されます。この理由は後述します。


ダウ平均連動ETF (DIA)


それではあまりスポットライトが当たらない、ダウ平均に連動するETFを見てみましょう。


近年、ダウ平均はわずか30銘柄の平均からなること、かつ単なる平均値という古典的な計算法(S&P 500は時価総額加重型のインデックス)であることから指数として欠陥があると酷評され、インデックス投資としてもダウ平均はS&P 500に比べてとても不人気となっています。


DIA:経費率0.17%, 1998年開始の長い歴史を持つ, 純資産は220億ドル


S&P 500に連動する各種ETFを合わせて純資産額4800億ドルだったものが、こちらは220億ドルと明らかに不人気ですね。


ですがETFとしては、こちらもベンチマークのダウ平均との乖離はほぼなく、わずかな経費の高さはありますが長期間の運用にも耐えた歴史を持つ優秀なETFです。


では、このDIAのリターンと他の指数との比較はどうなるのでしょうか?


※VTI:青色, DIA:赤色, SPY:紫色。


2001年からのVTI vs. NYダウ (DIA) vs. S&P 500指数 (SPY) のリターン比較では、VTI 143% vs. NYダウ 134% vs. S&P 500種 117%と、なんとダウ平均もS&P 500をアウトパフォームしていますね。


バフェットも驚く結果



S&P 500に遺産の90%を投資するように遺言している、バフェットもビックリのこの結果は何故生じるのでしょうか。


それは、一見無作為に米国株銘柄を選択しているように見えるインデックス投資であっても、それぞれの指数を構成する要素が人為的なバイアスによって歪んでおり、そのために価値と価格の乖離が生じる大きな問題が潜んでいるためです。


次回は、引き続きこの問題を考察していきたいと思います。




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2 件のコメント :

匿名 さんのコメント...
小塚 崇史 さんのコメント...