ビットコインの本質的価値、その行く末





ビットコインを始めとした仮想通貨が最高値から時価総額の50%以上を失い、まるで墜落していくかのように日々、価格が下落していきます。


色々なニュースメディアが連日この話題を取り扱っており、様々な情報が皆様のところに入っておられると思います。


当ブログでも夏から何回か、バブルに陥ったビットコインに関してお伝えしてきましたが、今回読者の方からビットコイン投資にかかるご相談がいくつかありました。


そのご相談への回答を踏まえて、今回は当ブログらしくバリュー投資の見方から、バブルが崩れつつあるビットコインの本質的価値と今後の行く末を考えてみたいと思います。






ビットコインの本質的価値


本質価値の見積もり方法


株式、不動産、金 etc. とさまざまな資産クラスがありますが、私はいずれも投資に当たってその本質価値を見積もり、他の資産クラスよりも割安となって、予想される利回りが優れると思われる場合にそのクラスへの投資を考えるようにしています。


この中で歴史的に多くの場合、株式では資産自体がキャッシュを生むこと、またその内在価値自体も増加を続ける性質を持つことから、最も大きな利回りを挙げ続けてきた実績があり、私は株式を主な投資対象にしています。ですが、状況によってはそれ以外に投資を検討することもあります。


ではもしビットコイン投資を行う場合、その本質価値はどうやって見積もれば良いのでしょうか? 株式をヒントに考えてみましょう。


バリュー投資において本質価値の算出方法は以下を用いるものがあります。



1. ブランド企業が安定して生む将来利益に基づく、バフェットの考え方

2. 企業が生むキャッシュフローの総和が本質価値に等しいとする、マンガーの考え方

3. 企業が持つ純資産にもとづく、グレアムの考え方



(1) は株式以外にも、例えばマンハッタンの不動産のように、それ自体のブランド価値で内在価値が複利で増加しキャッシュを生み続けるような、バフェット不動産とでもいうようなアセットクラスでは同じ投資の考え方が出来ると思います。


ですが、ビットコインはまずまずここに当てはまらないでしょうね。


(2) は、例えばヒドい中古のボロマンションが売りに出ていたとします。


この物件が仮に10年しかキャッシュフローを生まずその後は価値が0の廃屋になるとすれば、10年分のキャッシュフローが簡単にいうと本質価値になります。例えばこの物件が3年分のキャッシュフローという特価で売りに出ているような場合は、大変良いお買い物と考える訳です。


しかしビットコインは金と同じく根本的にキャッシュを生みませんから、この方法でも本質価値を見積もることが出来ません。


そのため、今回は (3) 資産価値の見積もりによるグレアムの方法で価値を求める必要がありますね。


ビットコインの資産価値


ここで質問です。


土地の価格はどのようにして決まるでしょう?


土地はもともと色が付いているわけではありません。シベリアの原野でも、マンハッタンの一等地でも1m²は同じ1m²なわけです。


ですから価格を決めるのは、人の営みが生む需要と供給になってきます。土地を欲しがる人数と売りたい人数のギャップが、価格を決定づけるわけですね。


金も同じく希少性が高く、装飾品にも使用され、加工用途も広く劣化し難いという特性から需要が集まり、その資産価値に結びついているのです。


そのため、ビットコインの資産価値を求めるに当たっては、これらと同じように将来的な需要、つまり今後のマーケット規模を考える必要があります。


仮想通貨のマーケット規模


マーケットの規模を考えるに当たり最も重要なことが、各国の仮想通貨にかかる法規制ですが、実はここにビットコイン最大の問題があります。


というのは、各国の中央銀行が貨幣のコントロールという実体経済への手綱を放すハズがなく、様子を見た後に仮想通貨の実態が判明すればまず反対するに違いないだろうという、常識的な問題です。


各国の財政・金融政策の基礎となり、国家の礎となるのがこの通貨という概念ですから、仮想通貨市場が小さいうちはお目こぼししていた中央銀行も、ここにきて次々と規制を開始していますね。


ですからメジャーな国家がほとんど法規制をかけてしまうとなれば、そのマーケット規模は、アンダーグラウンドな犯罪取引や、独裁国家でのマネーロンダリングなど非常に限定されたものとなるでしょう。


さらにそういったブラックな点が強調される程に、より法治国家では規制への圧力が高まるということになり、多くの国家で規制が進む可能性も高いのではないかと、私は昨今各国で相次ぐビットコインの規制や、仮想通貨に関連した犯罪からは感じています。


その規制の規模がどの程度となるか今後の正確な予想は困難ですが、無限の広がりがあると楽観視された去年の多くのメディアの見積もりよりも大きく価値を減じるだろうと思いますし、そしてそもそも本邦でも仮想通貨が規制されれば、実際の需要はほぼ0に収束することになると思います(持っていると法に問われます)。


よって、多くの仮想通貨で将来的な需要 = 本質価値は概ね0に近似する可能性が高い、これが私の結論です。


ビットコイン・ブロックチェーン技術の弱点


様々なインフルエンサーによって理想の通貨のように言われているビットコインですが、株式のアナリストと同様にポジティブなことを徹底して強調する、そのポジショントークには注意が必要です。


以下に私が思うビットコインの持つ矛盾を、ざっと挙げてみます。



・各国の法との親和性は解決しないのでは?

・銀行・中央銀行が発行主体になればもっと良いもの(ドル・円ペッグ仮想通貨など)が作れるのでは?

・ブロックチェーン技術は本当にセキュリティーは大丈夫?

・ブロックチェーンは環境を破壊しつくす非効率技術では?

・仮想通貨にはインフレは生じないのか?



現在、既に1500種類の仮想通貨が存在するということですから、仮想通貨を作る技術というものは恐らくそんなに複雑な技術ではないのでしょう。


ですから本邦でも銀行が仮想通貨の発行を計画しているようですし、実行するとなると速やかに技術的には可能だと思います。そしてより「固い」通貨が出現してきた場合、今ある有象無象の通貨の需要はどうなるのでしょうか?


またこんなに手数料が高く、かつボラティリティが高い通貨は実際の決済には役に立ちませんが、もし実際の使用に耐えるドルペッグ・円ペッグ仮想通貨が実現すれば、既存の仮想通貨の価値はどうなるのでしょうか?


そしてマウントゴックスに続いてのコインチェック騒動が今回生じていますが、ブロックチェーンとそれを支える周辺技術は本当にセキュリティーが保たれ、かつ遅延や誤操作の問題無く資産運用や決済に耐えうるシステムとなっているのでしょうか?


さらに、ビットコインのマイニング電力は莫大であり、既に世界159ヵ国のそれぞれの国の電力使用よりも多く、順当に増え続ければ2018年10月には英国の電力消費を上回る規模になるとの見積もりがあるようです(Bitcoin mining consumes more electricity than 20+ European countries thenextweb, Nov 23, 2017 by MIX)。


こういった技術が、果たして現実的に継続可能なのでしょうか? 特にマイニングが多く行われる中国は石炭火力の比率が大きく、環境への負荷も絶大だと思われます。


そして次々とICOなどで新しい通貨が創設されている業界環境です。ここでは一定の需要しかない業界に、過剰な量の通貨が供給されているものと思います。


通常の通貨(例えば円)であれば一気に需要を上回る多量の通貨が供給されれば、ハイパーインフレになりかねないと思うのです。仮想通貨でこの原則は当てはまらないのでしょうか? ましてや仮想通貨の大半は、既存の通貨と比べファンダメンタルズが疑わしいもので占められ、より実需に乏しいと思うのです。


最後に私が思う一番の疑問です。


1500種類ある仮想通貨のほとんどは最終的に無価値になると思いますが、その中から、どうやって「正解」を選ぶのでしょう? そしてもし中央銀行が仮想通貨を発行しだした場合は現状の通貨は全て無価値になり、「正解」はそもそもこの1500種の中にない可能性だってあると思うのです。


私の考え


ビットコインをお持ちの方、損害を出された方においては、このような記事を読まれ気分を害された方もおられると思います。


大事なお金をご自身ないし誰かのために投資された、そのお気持ちは非常に切なるものだったと思いますし、このような結論をお伝えすることは残念です。


しかし本質的価値が0の可能性が高いということは、投資において時間が経過するごとに、価格はその本質価値に収斂していく性質があるため、時間経過に応じて更に損害が膨らむ可能性が高いと思うのです。


もしかすると、もう一度ビットコインが急上昇して更なる高値を追うかもしれませんが、結局は将来的に本質的な価値とそれを決める需要がなければ、その期待値は0となりますし、私は最終的な期待値が0となる賭けは行うべきでないと感じます。


ビットコイン投資を行われた方におきましては、そこに投じた資金は、皆さんが働いて得た大事なお金だと思います。


ぜひ今後も大事に育て、ご自身のため、家族のため、幸せのため、夢のため、そして未来のために使って頂きたい。私はそう思うのです。


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