2018年度年次報告 投資資本3884万円 本年もS&P 500をアウトパフォームしました!




今回は当ブログの年次報告です。



12月末日時点のドル建て投資資本は、353076ドル(3883万8360円)でした。


2016年初頭からの結果は、投資元本が累計307460ドルですので、単純に現金で所有していた場合と比較して、株式による純利益(損失)はこの1年間で - 14382ドル(158万円)、記録開始からの3年間では + 45616(502万円)になります。


また昨年1年間で投資資本は、元本の投資以外の収入(給与所得等)を含めると + 61063ドル(672万円)増加しています。






上図は私のポートフォリオとS&P 500指数(SPYで代用)を、ポートフォリオ内のキャッシュ比率を同等とし、給与所得と配当で買増しを続ける同じ条件下で比較したものです。


SPYを購入した場合の、この1年間のポートフォリオ全体のリターンは - 5.3%です。そして私のポートフォリオのリターンが - 3.9%ですので、S&P 500指数を + 1.4%アウトパフォームしています。






株式ポートフォリオと取引内容





上図は私のポートフォリオ構成です。また本四半期の主要取引は以下となります(取引単価及び総額)。


なお現在は日本小型株への買い替えを検討中であり、その関係上、一時的にキャッシュポジションが増加しています。




ディスカバリー
売却:単価24.25($54296)


エルドラド・ゴールド
購入:単価0.77($3534)
購入:単価0.64($1818)
購入:単価0.62($1386)
売却:単価0.58($31448)


フィアット・クライスラー
購入:単価15.9($5313)


CAIインターナショナル
購入:単価21.1($4653)


新潟放送
購入:単価924(¥ 277200)
購入:単価960(¥ 96000)


東部ネットワーク
購入:単価1048(¥ 209600)
購入:単価1035(¥ 103500)



個人資産



以下は私の個人資産になります。









生活資金などを先の投資資本とは別にしていますので、上図ではその点加味すると個人資産は4012万円となっています。またその他資産が200万円ほどありますので、現在の私の資産は4212万円ということになります(※注1)。




※注1:用いているマネーフォワードでは、マネックス証券の評価が反映されるのに数日の時差があります。



長期リターン


私のポートフォリオを参考とされ、数百万円から一千万円単位で投資している方が複数人おられます。


こういった方に対して私の長期成績もお示しすべきかと考えましたので、今回は以下8年分(2011年~)の長期リターンを計算しています(※注2・注3)。




こちらを見返してみますと、当初はささやかな額であった資産も少しづつ成長を続けており、徐々に複利の力が働いてきていることを感じます(なお30歳過ぎまで勤めていた大学病院その他の勤務先は当初年収250万円程でした)。


そしてこの結果から、バリュー投資の通説通り市場が高値になる程に良質な銘柄選別の幅が狭まり、近年ではまるで重力に引かれるかのようにリターンが減じてきていることを感じます。




※注2:今回、為替・税金など計算がとても手間だったので8年分のみ計算しています ('ω') いずれ時間が出来たら、もう少し過去の分まで計算してみようと思います。


※注3:ポートフォリオからキャッシュポジション分を除し、株式部分のみとして計算しなおした、S&P 500指数とのドル建て・税引き後・配当込みでの幾何平均リターン比較になります。



今年を振り返って


犯人は誰?


年末に入り市場の下落、またかなりの価格変動の高まりが見られ、特に投資を始めたばかりの方は不安な時期を過ごされているのではないかと思います。


そして、トランプの先鋭化する保護主義への姿勢、英国のEU離脱問題、パウエル議長の継続的な利上げへの姿勢など、様々な不確実性の高まりが市場下落の原因として語られています。


ですが皆が言うように、本当にトランプが、利上げが、強硬なブレグジットが、そしてポピュリズムが市場下落の「犯人」なのでしょうか?


過ちの渦


個人的にはここ1年間お伝えしてきましたように、昨年から米国ハイテク株を中心とする強い価格上昇が見られており、これは資金の吸収によって世界中の他の資産クラスが全てマイナスリターンとなるほどであったことを見ても、明らかな行き過ぎであったと思います。


そして、アマゾンやネットフリックス、半導体などの一部では明確なバブルが生じており、かつ今後も持続する可能性があるものと思います。



・・・・・



私はバブル一般において、暴落の原因は2つあるかと思います。


第一に投機に関連するのは多くの個人や機関ということ、第二に市場自体に過ちの種が内包されており、その自己矛盾自体が価格の行き過ぎを生むことです。


暴落の前には金融の天才がいる、これは相場の昔からの通則ですが、今回も皆様の周りには新たな技術(ハイテク・ビットコイン・大麻 etc.)、そして新規らしく見えるレバレッジの技術を魅力的に宣伝する人が居なかったでしょうか?


そしてこれら先見的(のように見える)洞察が実際に利を生むのを目の当たりにして、より多くの方が投機に興じる、このような状況が皆様の周りでも起こってはいなかったでしょうか?




いずれ最終的にはトランプ(もしかするとパウエル議長)に非難が集まり、もし弾劾や次回の大統領選挙での敗北に至れば、正義が適って結構ということに相成るのかも知れません。


ですが投機それ自体、その背後にある異常な楽観主義が論議の的になることはないのでしょう。


この中で、私は宴に参加した市場参加者の一人一人、そして舞台となった金融市場そのものが暴落の主原因であったように思えるのです。



最後に


昨今のバリュー投資は極めて難易度の高いものとなっており、特に米国市場においては最早暴落の直後であっても購入する銘柄を見つけるのは困難です。


この状況下にあり、2018年度のバフェットの株式ポートフォリオ部分のリターンは -15.3%、セス・クラーマン -21.3%、グリーンブラット -12.0%、アインホーン -26.9%、そしてパブライやガイ・スピアも恐らくは市場平均に劣後しているという、バリュー投資にとりとても厳しい時期が訪れています。


投資を初めて開始したものの教科書を読みながらのバリュー投資が全く機能せず、諦めてグロース投資に切り替えた、ないし高配当再投資からグロース投資に乗り換えた、このような方が今年は多かったのではないでしょうか。


或いは長年バリュー投資を続けてきた方でも、市場平均をアンダーしないため止むを得ず、前述のような銘柄を購入し始めた方も多かったかも知れません。



今後の戦略


私の戦略は今後も変わりません。


本質的な価値よりも割安の資産があれば買い、高くなれば売る、同じことを今まで繰り返してきました。これが私の戦略の全てですし、実の所、他に方法を知りません。


そしてこれまでは幸運の手助けもあってまずまずの成績を残してはいるものの、恐らくは今までよりも、より大きな困難が目の前に横たわっていることを感じます。


私の運用を参考にされておられる方におきましては、上記の点をよく御深慮頂いた上での運用をお願い申し上げます。




今回は、最後に私が最近心を動かされた、とある画家の逸話をお伝えして報告を終わりたいと思います。



撓(しな)れども折れず


Bowed but Not Broken by Suffering and Adversity.

苦痛と逆境によって、撓(しな)れども折れず。


Hans Suter著:ポール・クレー、その病より。


ポール・クレーは、スイス出身の近代芸術家です。


第二次大戦中に近代芸術はナチスから退廃芸術として迫害を受けスイスに亡命することとなり、亡命先では経済的な困窮に苦しみました。


また当時不治の病であった全身性強皮症を患い、食道狭窄によりピューレ以外は食事が摂れず、肺炎・胸膜炎により労作時息切れを来し、顔面と頸部の皮膚が硬化し口が開かず歯科治療が困難となり、晩年は画用紙さえ持てなかったといいます。


亡命の6年後、闘病の末に死去しました。



※パウル・クレー「アクロバット」



病が彼の画業にどう影響をあたえたかというと、彼は発症から死去に至るまでの5年間に実に全作品の4分の1にあたる2500作を、更に死の前年には1253作を発表しています。


皮膚科医であるHans Suterが、後年彼に関する著作 「Paul Klee and His Illness」を著し、サブタイトルを「Bowed but Not Broken by Suffering and Adversity. (苦痛と逆境によって、撓(しな)れども折れず)」としました。


この信念は、彼の晩年の作品数を見るだけでも頷けるものではないでしょうか。




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