2019年度年次報告 投資資本6290万円 本年もS&P 500指数をアウトパフォームしました!




今回は当ブログの年次報告です。


2019年12月31日付(NY市場終了時)の、ドル建て投資資本は578,907ドル(62,904,049円、借入 1,147,921円含)でした(※注1・注2)。


また、以下が当ブログの長期成績となります。




※ポートフォリオからキャッシュポジションを除し株式部分のみとして計算し直した、S&P 500指数とのドル建て・税引き後・配当込みでの幾何平均リターン比較になります。




キャッシュポジション分を除して株式部分のみで見た場合の、当ブログの年初来リターンは +34.7%、SPY +31.1%です。


従って当ブログの株式ポートフォリオの年初来リターンは、S&P 500指数を +3.6% アウトパフォームし、またアウトパフォームの期間は7年連続ということになります。


なお2016年2月のブログ開始から見ますと、累積投資元本に対して、株式投資による純利益は +175,330ドル(+19,051,358円)となります。


また本年度では給与等による投資元本の増加を含めた、総投資資本は年初来 +210,966ドル(+22,923,566円)となっています。




※注1: 以降の記載は全て12月31日付(NY市場終了時)の為替レートでドル建て換算したものです。

※注2: 本年度で確定している、FCAUの配当にかかる外国税額控除での税控除予定額、確定した損失による還付予定額を加えて算出しています。





個人資産



以下は私の個人資産になります。











生活資金などを別にしていますので、上図(※注3)ではその点加味すると個人資産は65,601,859円になります。


これは借入115万円を含み(ポートフォリオに掛かるレバレッジ倍率1.02倍)、またその他に資産が200万円ほど有りますので、現在の私の資産は6645万円ほどということになります。




※注3:家計に用いているマネーフォワードでは、各種証券口座等が反映されるのに数日の誤差があるため、現在の資産額とは数日の誤差が生じています。



株式ポートフォリオと取引内容







上図は私のポートフォリオ構成です。また本四半期の主要取引は以下となります(取引単価・株式数)。


CAI インターナショナル(CAI)
購入:20.45ドル(372株)

フィアット・クライスラー(FCAU)
購入:12.95ドル(655株)
購入:12.33ドル(760株)
購入:12.42ドル(864株)
購入:13.18ドル(661株)

タイガースポリマー
購入:590円(900株)
購入:590円(600株)
購入:589円(300株)
購入:613円(200株)

タイセイ
購入:299円(1100株)
購入:311円(1300株)

東日本旅客鉄道
購入:9915円(100株)
購入:10315円(100株)
購入:9890円(300株)

モリ工業
売却:2349円(700株)→IJTT・タイセイ・タイガースポリマーに交換

IJTT
購入:544円(500株)
売却:712円(6300株)→JR東に交換、また信用返済分に使用




取引ハイライト


今回は本年度の振り返りとして、特に夏に見られた下落相場を中心に個別株取引を見返してみたいと思います(※注4)。



※注4:Twitterでは以下の内容を全てリアルタイムで配信しておりました。御興味があられる方は、Twitterアカウントの方も併せてご参照下さい。



アービトラージ CAI・FCAU




※上図はCAI, 下図はFCAUの株価推移。
赤丸は購入、青丸は売却。以下本稿中でも同様。
青枠内はCAI⇔FCAのアービトラージ(交換取引)を行った期間、赤線平均購入単価。



今回、特に夏の市場恐怖が強かった期間では、各企業の長期的な本質価値は各々不変にも関わらず価格は異なるタイミングで大きく変動し、つまり安全域に銘柄毎のムラが生じたことから、その濃淡に応じた鞘取りを行っています。


ここでは上図の青枠内で両銘柄間で概ね、高値で売っては安値で買い戻すことを繰り返しているのが、見て頂けるかと思います。


またその後も安全性が高いと思われた頃合いを見つつ(貿易摩擦や各種統計による悪材料が出現する都度)、買増しを継続しています。


そしてこういったナンピン買いの結果、特に初期購入価格が19ドル前後であったFCAUの平均購入価格は、一年程の保有期間を経て漸く含み益に転じています(なお同銘柄からはこれに加えて、2019年度 一株当たり2.2ドル程の配当金が別途得られています)。



アービトラージ 日本株


本年度の保有日本株では、業績が比較的に早く回復し堅調、ないし自社株買いなどの好材料が出た銘柄から、時間差を持った株価の標準回帰が見られ始めています。


そのため値上がりの大きな銘柄から徐々に保有株式数を減じ、より割安な銘柄へ、安全域が深い銘柄へと交換を行っています。





※上図はモリ工業、下図は三菱瓦斯化学の株価推移。


保有株中で夏に最も早く回帰が得られたのは、モリ工業・三菱ガス化学でした。よってこの時点でより割安になっている保有銘柄へ、順次交換取引を行っています。




※上図はIJTT、下図はタイセイの株価推移。



IJTT・タイセイは東証2部・マザーズに属します。過去の20年程の傾向ではこれら零細市場に属する小型株の立ち上がりは、米指数より数ヶ月以上値戻りが遅れる傾向にあり、且つこれは再現性を持って繰り返されています。


今回もこの傾向が保有株に於いて見られたため、既に上昇が得られた他銘柄からの交換、ないし新規のキャッシュポジションを随時振り分けています。




※タイガースポリマーの株価推移。



ただ一つ、タイガースポリマーは他の銘柄と比べて業績の改善や自社株買いなどのカタリストが未だ不透明の為、比較的割安に残されています。


がその安値の反面、底値も限定的で安全性としては高いものと考え、また他株式がより割安になった際のキャッシュポジションの代わりとして(銘柄交換元として)、買増しを引き続き継続しています。



・・・・・



これらの普通株式同士の裁定により、凡そ6-7%程度のポートフォリオ全体での株式数増加が本年度は得られています。


またIJTTは親会社のいすゞ自動車と、モリ工業は鉄鋼価格と、CAIは業界内最大手のTRITONと、概ね長期の業績・株価が時間差を持ちつつもパラレルに動く性質があることから、その点も踏まえた売買となっています。


若き日のバフェットがかつて言った様に、1. 裁定取引は普通株取引で利益が挙がらぬ時期では大きな利益源となりうること、2. 特に普通株のロングに於いて難しい時期となりがちなレンジ相場の最中においても市況に依らない一定の利益が期待できること、3. 利益の量・確率の予想が普通株取引に比べ容易であり限定的なレバレッジを用いやすいこと、がポイントとして挙げられます。


よって本年においても大きな効果を発揮すると思われたことから、当方も今年は相応に大きな裁定のポジションを取り、過度にならぬ範囲でレバレッジを用いました(※注5)。




※注5:
所謂信用取引はバリュー投資家からは一般的に行うべきでないとされますが、実の所、バフェットやテンプルトン、パブライなど著名バリュー投資家はレバレッジも自分の責任の範囲で用いています。

バフェット自身は普通株取引で信用取引を行うことは危険性がとても高いため、使用を裁定取引に主に限定しており、且つ投資額の20%以下に抑えて使用する様にしていました。

今回私が用いたレバレッジはポートフォリオ全体の5%(250万円相当)となります。状況にも依りますが、リーマンショック程度の割安感で最大20%程の信用取引を行うのが上限かと個人的には考えています。

ただ信用取引は扱いを間違えれば大火傷を負いかねない、まさにジェット燃料に当たるため、景気循環を最低でも一巡された(且つ利益を出して生き残った)ベテランの方に使用を限定された方が無難かと個人的には思います。

過ぎたるは及ばざるが如し、という昔からの諺通りのことが起きかねないと思うのです。




四半期を振り返って


本四半期は米中貿易摩擦が、互いに関税を強化し合った夏を経て一応の解決を見つつあること、またこれを背景とした世界の中央銀行による緩和的な金融政策のスタンスが相まって、大きく上値を追った期間でした。


不安に慄いていた市場も、僅か数ヶ月で大分潮目が変わったように見えますし、それは各々の企業においてこの数ヶ月で本質的に何が変わったということではなく、あくまでそれを見るヒトの目が変わったのだろうと思います。


ITバブルの昔話


そうした厳しい瞬間に際立った行動をとることを投資家がどれほど望んでも、激しい急落の最中に明晰な分析力を保つことは心理的に非常に難しい。ジョン叔父さんは、急落が起きるずっと前に買いの意思決定を済ませていた。


テンプルトン卿の流儀より



バフェットに並ぶ前世紀のバリュー投資の巨人、テンプルトンはかつての1999年当時、ITバブル崩壊を事前に見抜き、またそれだけではなく、その時期にハイテク株へ果敢な空売りを仕掛けました。


大きく膨れ上がった利益を持った新興IT企業、1999年はIT企業の経営者達が利益を実現させ、リスクを一般投資家に押し付けるまたとないチャンスであり、売却の強い動機を持っていることをテンプルトンは見抜いていたのです。


また彼を伝説とした点、それはバブル崩壊の時期までも正確に見抜いていたことにあります。


IPOから一定の期間を経たロックアップ期間(IPO後に公開前の企業の株主売却が禁止される期間:通常6か月)に、多数の経営者が売り抜けようとするだろうことを彼は予見していました。


従って企業のロックアップ期間の解除が集中するその時、ロックアップ期間解除の直前(11日前)から、特に市場でIPO価格の3倍以上に値上がりした株に狙いを定めて空売りを仕掛けたのです。


結果、2000年3月第二週にその急落は訪れることとなります。テンプルトンが空売りしたハイテク株 84銘柄は、その多くが仕掛けた時点から95%以上の値下がりを見ることとなりました。



ロックアップ期間


翻って現在の市況を考えるに、今回の相場のドライバーはトランプ大統領による貿易摩擦・関税かと私は見ています。


そして彼が見ているのは次回2020年11月の大統領選挙を踏まえた選挙対策としての外交政策であり、その必要性は時を追う毎に高まる可能性が大きいのだろうと思うのです。




さて、ここで質問です。


あなたがもしトランプ大統領の立場で在れば、2020年の選挙に向け、最も自分自身のPR活動として行いたいことは何でしょう?



・・・・・



私が思うに、ここでは選挙のその日に景気がピークになる様に、1.金利を下げ、2財政出動を行い、3.減税を行い、4.貿易摩擦を緩和することかと思います。


そして貿易摩擦の解除を行うに当たり、選挙の様相(民主党の候補のあらましや米国民の選挙にかかる政策ニーズ)が概ね判明し、時期的にも選挙が近づく2019年11月‐12月頃から、徐々に貿易摩擦を解除するのではないでしょうか?


もし何か不測の事態が生じた時のことを考えるに、6か月前からの貿易摩擦の緩和では急いで財政出動などの景気対策を打っても選挙に間に合わない可能性がありますし、中国サイドもそれを恐らく黙認しないでしょう。


であれば2019年11月頃、遅くとも2020年初頭には貿易摩擦が緩和される可能性が高いのではないか? そして合意直前に今から合意するぞ! と交渉カードを手放すものはいないでしょうから、合意が近づくほどに派手な言動の小競り合いが起こるのではないでしょうか?


これが私が今回の景気サイクルで考えていた、謂わばロックアップ期間の概要となります。




そして選挙一年前を控えた2019年8月、両国の関税の上乗せを受け、市況は大きく低迷しました。


ここで温存したキャッシュポジションを用い、あるいは限定的なレバレッジを用い、また他銘柄からの交換取引を用いて買い向かった時が、私自身の今年の投資の鍵となる局面であったかと思います。





最後に


衆これを悪(にく)むも必ず察し、衆これを好むも必ず察す。

多数が悪く言う時は必ず自分で調べ、多数が良しとする時もまた、必ずあなた自ら調べるべきなのだよ。


孔子 論語より



本年は結果として、米市場平均は年初来 +30%超という好成績で沸くこととなり、皆様の周りにも年初来 +20-30%といった投資利回りが得られている方が、周囲に居られるのではないでしょうか。


さて、ここで一つ私が重要と思うことを申しますと、こうした +20-30%の投資リターンは市場に於いて周期性を持って訪れるものですが、一方その長期的結果として投資資本が例えば2-3千万円以上に至っている方、それが維持できている方となると、恐らくはかなり少ないということです。


何故か?




・・・・・




一つには資産が少額、例えば百万円位の内は全力で投資出来たり、或いは総資産が一千万円でその内の数百万円は投資出来ても、それ以上の本気の額を投資に回せる方は本当に少ないものと感じています。


また逆に投じるべきでない時にその資本の全てを株式に投じたり、或いは持っている以上の過大な額をそこにつぎ込んでしまう方、そのような方が残念ながら市井には多い様に見受けます。





投資では何を買うかよりも、いつ買うか、どの位買うか(或いはそもそも買うべきでないか)がより重要となる時があります。これはリーマンショック、チャイナショック、そして今回も恐らくそうではなかったでしょうか?


私自身も肝に銘じているのですが、投資においてとても大事なこと、それは嘗てテンプルトンが言った理性・勇気、その持続性ではないかと思います。


そして特に危機に際し勇気があったのかどうか。これを最も知るのは、恐らく危機に際した自分自身ではないかと思うのです。






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