2020年上半期報告 投資資本5792万円 上半期の年初来リターンは-11.2%でした!




今回は当ブログの上半期報告です。


2020年6月30日付(NY市場終了時)の、ドル建て投資資本は538,470ドル(57,923,179円・借入0円)でした(※注1・2)。


また、以下は当ブログの長期成績となります。




※ポートフォリオからキャッシュポジションを除し株式部分のみとして計算し直した、S&P 500指数とのドル建て・税引き後・配当込みでの幾何平均リターン比較になります。




キャッシュポジション分を除して株式部分のみで見た場合の、当ブログの年初来リターンは -11.2%、SPY -3.3%です。


従って当ブログの株式ポートフォリオの年初来リターンは、S&P 500指数を -7.9%アンダーパフォームしています。




なお上半期中の経過で言いますと、6月5日時点の年初来リターンは +2.2%(S&P 500指数を +2.7%上回る)でしたので、指数に対するアウトパフォームの期間としては現在までで7年6ヶ月間という事になります。


また2016年2月のブログ開始から見ますと、累積投資元本に対して、株式投資による純利益は + 119,368ドル(+12,840,523円)となります。


本年度の給与等による投資元本の増加を含む総投資資本は、年初来 -25,572ドル(-2,750,780円)となっています。




※注1:
以降の記載は全て6月30日付(NY市場終了時)の為替レートでドル建て換算したものです。

※注2:
本年度で確定している、保有外国株各種にかかる外国税額控除での税控除予定額、確定した損失による還付予定額を加えて算出しています。





個人資産



以下は私の個人資産になります。







生活資金などを別にしていますので、上図(※注3)ではその点加味すると、6月30日付の個人資産は60,572,810円になります。


またその他に資産が200万円ほど有りますので、総資産は6257万円ほどということになります。



※注3:
図は6月30日時点のマネーフォワードの明細です。なお資産管理に用いている同サイトでは各証券口座が反映されるのに数日の誤差が生じています。




株式ポートフォリオと取引内容


ポートフォリオ





上図は7月13日付のポートフォリオ構成です。また以下、同日のマネーフォワードでの資産明細となります。







主要取引


上半期の主要取引は以下となります(取引単価・日付・株式数)。


CAI
購入:10.60ドル(3/17:1479株)
購入:10.92ドル(3/18:1306株)
売却:14.69ドル(3/20:3722株)
購入:12.88ドル(3/23:800株)
購入:14.00ドル(3/24:2300株)
購入:13.79ドル(3/25:1825株)
購入:15.00ドル(3/26:412株)
売却:14.66ドル(3/27:870株)
購入:13.70ドル(3/31:1260株)
購入:14.50ドル(4/8:1813株)
購入:13.20ドル(4/16:983株)
購入:14.18ドル(4/20:2746株)
購入:15.82ドル(4/29:306株)
売却:18.53ドル(5/26:2318株)
購入:16.30ドル(6/19:1285株)
購入:16.27ドル(6/24:539株)

FCAU
売却:7.21ドル(3/17:2183株)
売却:6.59ドル(3/18:2174株)
売却:6.18ドル(3/19:3200株)
購入:6.70ドル(3/20:8150株)
売却:6.37ドル(3/23:1275株)
売却:6.71ドル(3/24:542株)
購入:7.24ドル(3/25:706株)
売却:6.93ドル(3/30:3300株)
購入:6.89ドル(4/1:5235株)
売却:7.71ドル(4/16:1689株)
売却:8.06ドル(4/20:4838株)
売却:7.88ドル(4/22:4107株)

AER
購入:16.16ドル(3/19:613株)
購入:18.13ドル(3/23:273株)
購入:18.58ドル(3/24:194株)
購入:21.36ドル(3/27:594株)
購入:20.26ドル(3/30:1125株)
売却:20.20ドル(4/1:1800株)
売却:20.80ドル(4/2:999株)

AL
購入:12.74ドル(3/19:769株)
購入:16.40ドル(3/23:190株)
売却:26.30ドル(3/25:959株)

M
購入:5.36ドル(4/6:1932株)
売却:5.99ドル(4/8:1932株)

KSS
購入:12.81ドル(4/6:810株)
売却:18.25ドル(4/8:810株)

SLX
購入:22.05ドル(4/22:1465株)
売却:25.25ドル(4/29:193株)
購入:23.88ドル(5/8:327株)
購入:22.50ドル(5/15:54株)
売却:27.66ドル(6/19:759株)
売却:27.85ドル(6/22:567株)
売却:27.75ドル(6/24:327株)

TRTN
購入:29.71ドル(6/22:530株)

小松製作所
購入:2614円(1/16:1200株)
売却:2615円(1/24:700株)
購入:2454円(2/6:100株)
購入:2319円(2/14:200株)
売却:2222円(2/27:400株)
購入:1909円(3/10:200株)
購入:1625円(3/18:300株)
購入:1552円(3/19:500株)
購入:1558円(3/23:400株)
売却:1853円(3/31:1100株)
購入:1667円(4/1:100株)
売却:1750円(4/6:100株)
購入:2082円(5/11:200株)
購入:2130円(5/26:1500株)
購入:2124円(6/25:100株)

cotta
購入:342円(2/28:200株)
購入:243円(3/19:300株)
購入:239円(3/27:1700株)
購入:259円(4/6:700株)
購入:330円(4/14:300株)
購入:343円(4/21:500株)
売却:613円(5/26:10600株)

プレス工業
購入:247円(4/27:3500株)
購入:253円(5/11:1500株)
購入:255円(5/26:10200株)
購入:263円(6/1:1100株)
購入:269円(6/19:2200株)

共和工業所
購入:3200円(5/11:200株)
購入:3400円(6/3:100株)
購入:3455円(6/16:100株)

IJTT
購入:430円(4/14:1800株)
購入:437円(7/1:200株)

丸東産業:
購入:1801円(6/5:300株)

日本航空
購入:3269円(1/16:1100株)
購入:3042円(2/3:600株)
購入:3201円(2/6:200株)
購入:3110円(2/14:200株)
購入:3041円(2/17:100株)
購入:2820円(2/26:200株)
購入:2707円(2/27:700株)
購入:2618円(3/4:400株)
購入:2350円(3/9:400株)
購入:2042円(3/18:200株)
売却:1920円(3/23:1400株)
売却:2005円(3/24:1800株)
売却:2149円(3/27:200株)
売却:1960円(4/14:400株)
売却:1909円(4/21:100株)

モリ工業
売却:2627円(1/16:1500株)

東日本旅客鉄道
売却:9990円(1/16:100株)
売却:9558円(2/3:200株)
売却:9841円(2/6:100株)
売却:8063円(3/18:100株)

タイガースポリマー
購入:594円(1/17:400株)
売却:600円(1/24:1000株)
売却:569円(2/14:1800株)
売却:532円(2/27:600株)
購入:500円(2/28:1000株)
売却:467円(3/9:1600株)
購入:445円(3/10:500株)
売却:411円(3/18:1900株)
売却:440円(5/8:2000株)
売却:433円(5/11:3400株)


信用取引


強い下落の際、個別株の割安感が強い場合などの状況によって、私は信用を用いて株式を買増すようにしています。今回信用を用いて買い付け資金の一部に充てましたので、用いた時期も併せてお示しします。


※負債推移。


本上半期は最大で380万円程度まで借入を用い、最も下落が強い時でポートフォリオ全体の総資本3000万円程度となるまで下落を見ました(最大で-51%までポートフォリオ全体の年初来リターンは増悪しました)。


従って、ポートフォリオ全体にかかるレバレッジ倍率は最大1.14倍程度だったことになります。


なおリーマンショックなどの一段強い下落で、レバレッジ倍率最大1.20倍の使用を私の場合は想定しており、今回用いた借入は市場全体の下落の程度に応じてやや抑えた範囲になっています。




取引ハイライト



それでは今回は、上半期の特に下落が強かった3月を中心に取引を見返していきたいと思います(※注4)。



※注4:
Twitterでは以下の内容を全てリアルタイムで配信しておりました。御興味があられる方は、Twitterアカウントの方も併せて参照下さい。



ダンドー・アービトラージ CAI


赤丸は購入、青丸は売却。以下本稿中では同様。



今回3月中旬をピークとした市場の下落では、主力銘柄のCAIが最も強い下落に晒され、最大で1/3程への価格の下落を見ました。


一方で企業価値はこの際それ程には毀損されてはおらず、逆説的な安全域の拡大を見た様に私は思いました。


従って下落率が30-50%程と比較的軽微であったFCAU・日本航空などの銘柄を売却し、開いた安全域の鞘に応じて同株を集中的に買い付けています。


特に3月は日々20-30%程度の強い価格変動が個別株各種において見られた為、ポートフォリオ内でのかなり小刻みな裁定取引を繰り返しています。


ここで上図では大まかに安値で買っては高値で売却、再度安値で買い戻す事を繰り返しているのが見て頂けると思います。


このようなナンピン買いの結果、CAIの平均購入単価は凡そ16ドルまで低下しています。



テンプルトン銘柄 航空機リース


9.11後、取引が再開されたらパニック的な投売りとなることは明らかだった。一方叔父さんは皆が必死に売ろうとするときに買う準備を整えていた。政府がテロ攻撃に対し航空会社の破綻を放置するとは思わず、この見方に立ち、売り手の波に正面から立ち向かうつもりでいた。


テンプルトン卿の流儀


今回コロナ禍の影響を大きく受けた産業の幾つか、航空・百貨店・鉄鋼に対して投資を行っていますので、そちらも順に経過をお示しします。


経過中なかでも航空業界の苦境はとりわけて大きく、財務が脆弱な企業からいくつかが破綻に至っており、今後も同様の破綻が懸念される中で、航空機リース産業も市場から強い売り圧力を受けることとなりました。


そして3月当時、私が市場の低PBRランキングに目をやると、上位に航空業がPBR 0.2倍前後の数値で複数ランクインし、これは概ね倒産を織り込んだ価格として市場の総悲観を反映したものでした。


・・・・・


ここで3月に私が考えていたのは、市場とは少し別のことです。


航空機リース業の顧客は、その悪名高い景気循環性によって破綻を繰り返す赤字の常習犯 航空業界となります。


ですからこの賃貸ビジネスでは、周期的に来襲する不況から身を守り、キャッシュフロー(CF)の安定性を得るため、長期リースを大きく組み込んだ航空機ポートフォリオを組むこととなります。


そして通常多くの長期リースでは、中途解約が高額の違約金無しには出来ない様になっているのです。


そのため契約の性質上、景況から直接に悪影響を受ける航空業界とはやや異なり、1-2年程度の不況では財務に影響を受けにくく、実際にリーマンショックやチャイナショックなどの名だたる不況でも財務の安定性は再現性をもって認められている事が特徴となります。


ですがその一方、株価は航空セクター全体に連動し市場恐怖で大きく売り込まれる展開を繰り返すと、一風変わった特徴を有する業界なのです。




さて今回のポイントは9.11の国家的危機でも航空業界の破綻を放置しなかった政府が、果たして今回業界の破綻を座視するのか? ということです。


私は救いの手が再度差し伸べられる可能性が十分あると見ましたし、そして借手の航空各社が破綻しさえしなければ相手の経営状況がどうであれ、貸手の航空リースとしてはCFが保たれる訳です。


これを市場が気付く瞬間を狙うこと、それがこの投資の要点となります。 




※上図はAL, 下図はAER。



結果としては同時期の政府からの航空各社への資金提供の決定などを受け、数日間の投資で、AL +95%、AER +6%ほどの利回りが得られています(※注5・6)。




※注5:
航空機リース業界も長期的には航空業界自体の低迷を経て、本質価値が徐々に毀損される可能性はあります。よってこの投資は恐怖で大きく売り込まれた株価が、政府の補助や金融政策などのカタリストを機に巻き戻す、その初動を捉えることが重要です。


9.11の際にテンプルトンは航空各社を6か月間保有し大きなリターンを得ましたが、その後の航空各社は破綻や長期の低迷に至っています。価値の傷んだ可能性がある以上は、こうした投資は期間として短いものになりますし、カタリスト主体の取引という事になるかと思います。




※注6:
この投資のもう一つの要点は、PBR 0.15~0.20倍に強く売り込まれた株式は一度はPBR 0.30倍まで多くの場合反発する、その巻き戻しを捉える事です。


AERの初期購入価格はPBR 0.23倍とまずまずのものでしたが、その後3月後半にかけて買増した価格はPBR 0.3倍近く、安全性への配慮が不足したものでした。


結果として初期購入分からの利回りは+ 20%程が得られた一方、3月後半の買増し分がそれを帳消しにしてしまいました。この不手際にかかる主な原因は、割安時ではなく値が上がってから買増した、つまりは利を一層求めた私のスケベ心にあったのだろうと、今後の反省課題になります。




テンプルトン銘柄 百貨店



航空機リースの取引を終えた後、市場をふたたび見てみると企業のワゴンセール、低PBRランキングの上位に次に出てきた見慣れぬ新参者は、百貨店各社でした。


この百貨店業界は、かねてからアマゾン等のネット通販の隆盛によるしわ寄せを受け続けており、それに加えこのコロナ禍の影響を直接に浴びて、現状はリーマン期のそれを超えた最悪と言っても良い状況の業界です。


実際にJ.C.ペニー、ニーマン・マーカスなどの大手も、今回のコロナ禍を引き金に破綻へと至っています。




さてここで投資として問題になるのは、すべての悪材料を織り込んでなお価格と価値が釣り合っているのか? という点にあるかと私は思います。


先の航空リースに同じく、政府の援助やFRBからの広範な社債買い付けはこの業界にも恩恵をもたらす可能性があると思いましたし、倒産を前提とした当時の株価(PBRはM 0.22倍、KSS 0.31倍)は過去20年でも最低ラインです。


そしてもし最悪のシナリオが起こらないと判明した場合、株価は本来あるべき所へ一定の値を戻す可能性があると考えました。


特にメイシーズはマンハッタンの旗艦店を始め、全米に多額の不動産を持つことで知られ、これは不況から好況に移り変わる都度、そこにかかる特集が Wall Street Journal 誌に組まれる程度に有名な事柄です。


またメイシーズやコールズは、ここ数年の " 小売りの死 " とも呼ばれる逆風の中でも赤字を出さず(先のJCペニーなどは歴年の赤字です)、財務は比較的に保たれています。


私は各銘柄のPBRが揃って過去最低ラインに至った時点で、投資を開始することにしました。




※上図はKSS, 下図はM。



結果としてこの投資で、KSS +42%、M +12%ほどの利回りが3日間で得られています。


なおこの投資は先の航空リースと比べても、更に短期間での売却になりました。


百貨店はリースとは収益構造が異なり、不況の影響を直接受け、赤字がロックダウン直後から直に累積していく類の企業です。従って時間が経つごとに本質価値は損ねられていきます。


ですから明確な割安の時に限り保有を継続すべきと思い、そのように取引を行いました。




テンプルトン銘柄 鉄鋼


二次大戦前夜、叔父さんは米国の証券取引所の、1ドル以下の全株式を借入を用いて買うことにした。叔父さんは当時、政府による刺激が生み出す好況の中では製造業の最も非効率な企業でさえ蘇るだろうことを理解していたのだ。


テンプルトン卿の流儀


今回のコロナ禍、ロックダウンによる実体経済の傷みは著しく、そしてそれに対応する政府の財政出動の規模も過去とは桁違いとなっています。




これは米国の対GDPで見て第一次大戦・二次大戦と同程度の支出であり、今後の状況によっては増加する可能性さえあるだろうと思います。


またこれは米国一国の事に限らず、世界全体で同時に過去最大級の財政・金融政策が取られています。


3月のコロナ禍の状況から、私はこの環境がやがて過去の大戦時と同様に財政出動へと向かうだろうと、特に今の雇用と政治の情勢からすると、高い失業率を抑える為の公共事業・インフラ整備に向かう可能性が高いだろうと考えました。


特に今市場で好まれているハイテク各社は、この点で大きな雇用を生むのは難しい側面がある様に思いますし(Google・Microsoft・半導体等では多数の非熟練労働者を雇用できません)、過去に大恐慌から米国が立ち直ったのは公共事業を多く行い、雇用を支援したニューディール政策の成果だったことも一つ判断材料になるかとも思います。





さてここで質問です。


巨大な需要の創出がもし生じるとして、公共事業やインフラ整備に必須、かつ最も恩恵を受ける業界はどこでしょう?


・・・・・


私が思うにテンプルトンの活躍した昔も、そして今も、自助努力のみでは不況を乗り切れぬ、赤字を恒常的に出している低利益体質・過当競争の業界が、最もこの恩恵を業績面で、そして株価の面で受ける事になろうかと思います。


こういった点から製造業を見渡すと中でも2016年のチャイナショック、2018年から持続する米中貿易摩擦によって大きな痛手を受け続けている鉄鋼各社は製造業中でも一段冷え込みが激しく、" 鉄冷え " と呼ばれる生産調整の時代が長きに渡って続いています。


この考えを基にし、また一方、赤字が際限なく続き終わりの見込みが無いとなると財務的な危険も極めて大きいことから、ロックダウン終了の目途が立つ時期に的を絞って鉄鋼株を買い付けることとしました。


ここでは鉄鋼は慢性的な赤字経営の会社が多く、従って個別株への投資は多くの分散を要すること、また本邦の証券会社から海外鉄鋼株へのアクセスが限られていたことなどから、鉄鋼セクター ETF として投資を行っています。




※上図はSLX, 下図は鉄鋼価格の推移。



結果としては、ロックダウン解除による鉄鋼需要の反転、財政出動の報とともに鉄鋼価格は大底から徐々に立ち上がり、それに合わせて鉄鋼株も値を戻しています。 


最終的には+22.8%の利回りが、本投資からは得られています。



ピーター・リンチ銘柄 cotta


最後の事例です。


本企業は製菓材料の通販サイト cotta を運営しており、ニッチな市場ながらオンライン通販において、富澤商店などと併せ業界を寡占する企業となります。






cotta の特徴は街中の洋菓子店に製菓材料を卸す B to B 部門、オンラインで個人を相手に行うB to C 部門が併存していることです。特に前者は景況に敏感、かつコンビニスイーツに押され気味ということもあり、シクリカルな財務要因も併せ持つ企業です。


そこでオンライン取引のB to Cでの一段の普及、B to Bでのオンライン化拡大が今後の課題になっています。



※2019年度:売上高6,399百万円, 営業利益317百万円, 経常利益350百万円,  純利益225百万円,  EPS 20.8円



同社は本年3月、1. 今後3年間は利益の殆どをcottaの認知度向上のための広告費に用いること、2. その間は利益大幅減ないし赤字であること、という衝撃的な中期経営計画を発表しました。


この数年にわたる利益減・赤字の懸念を受け、またその後のコロナ禍の発生を受け、本企業の株価は下落傾向を続けることとなりました。


・・・・・


さて株価が下落基調にあった3月当時、私が考えていたのは上図赤字の2024年経常利益のことです。


これは本企業での昨年の3倍の水準に当たりますし、仮に純利益がこれに沿ってもし将来的に3倍になるとすれば、一株当たり純利益は概ね63円ほどとなります。


仮に数年間赤字が続くとしてもそれは広告費による経費増の赤字であり、特段ビジネス自体が傷む訳ではありませんし、中止も出来る類の出費です。


何より3月の株価は大底で200円程度と、24年の利益水準から予測PER 3倍の水準でした。





さて、その後のコロナ禍の中での巣ごもり需要、特に自宅でのお菓子作りのブームを受けて本企業は大きな売上増の影響を受けることとなり、このカタリストを反映した株価は大きく上昇しています。


投資としては下落中も買増しを継続し、結果として現状では大底から3バガー、平均購入単価からは2バガーを得て、一部を利益確定しつつ保有を継続しています(※注7)。




※注7:
保有している他の銘柄との安全域の差が、値上がりによってそれなりに開いたため本銘柄の保有株式数の半分を売却しています。


未だ半分を保有しているのは、1. コロナ禍自体によって本企業の認知度が増し、本企業が元来予定していた広告費が相当に減じる可能性があること、2. 製菓という習慣自体が広く認知され、その Instagram などとの親和性から考えても、コロナ後も一定数定着する可能性があることからです。


つまりコロナ禍を経て、本企業の価値がコロナ禍以前の中計よりも改善している可能性があり、それは今後の経過を見なければ分からぬ部分となります。


またピーター・リンチの得意としたチェーンストア・ネットワークへの投資は、規模(=売上)の成長とともに規模自体の力により営業利益率が改善し、それによって一層の競争力を得る特徴があります。


つまり株式の価値が株価より早く上昇している場合、早期に売却する事も投資においては誤りとなる可能性があるからです。





上半期を振り返って



本年は米中貿易摩擦の合意を経て、その後の市況改善が期待された年始より始まりました。


しかしコロナ禍の広まりと共に、その後の実体経済・市場はいずれも大きな上下動を来し、また各国の人種間問題、政治問題がこの時期に併せて表面化し、恐らくは歴史に残るだろう激動の半年間を経る事となりました。


未だコロナ禍からの出口は見えず、政治と経済、そして人心にかかる不透明感は晴れぬままです。


一方、各国の緩和的な財政・金融政策による多額の流動性がこの間に供給されており、市場はその波間の繊細なバランスの上で揺れ、資産価格もまた激しく揺れ動いています。



・・・・・



こういった時には誰の胸の内にもあの時こういう取引をしていれば、そう思う瞬間が恐らくあるものかと思います。


高値を付けた1月のあの時に株式の全てを売却していれば、3月の下落時にもっと大きく買増せていれば、と。


ですが未来は不確定なもの、後から再現不可能であった事を悔やんでも仕方がないと私は思いますから、時ごとに得られる情報を元に考え、慎重に歩む以外に方法はないのだろうと自身思い返します。


大事なのは未来を見ること、そして苦難の中でも諦めず前を向き続け、考え続けることだと思うのです。



バリュー投資の " 死 " 


本上半期の特徴は、予てから見られていたハイテク株を中心としたグロース銘柄と、製造業を中心としたバリュー銘柄の株価に一層差が開いたことがあると思います。






これは過去100年間でも最高レベルの差ということであり、コロナ禍で直接被害を受ける実体経済と、被害が少ないか、あるいは恩恵を受けると目されるハイテク企業では被害状況が異なることが背景にあります。




私はバリュー投資家として出来るだけボトムアップで、個別企業の集合体として市場を見ていくようにしています。


ここまでの事例でお示しした様に製造業・運輸業・旅行業が、その他にも金融業などが、また米国以外で多くの国々の株価が、実体経済の不振を反映し未だ低迷しているのは確かです。


ですが個別株においては過去最安のバリュエーション(PER, PBR, 配当率)を付けた直後の銘柄が多く見られ、基本的に最安のバリュエーション(PER 1~3倍, PBR 0.15~0.20倍等)はその不況の中で一度きりしか付けない事が多いと、個別株の経験から私は感じています。


その点で多くのバリュー銘柄は悲観を大きく織り込んで最大限伸びきった後の状況の様にも見え、一方ハイテクではこの対となる出来事が起きつつある様に見えると、これが私の今の状況に対する感想です。




また、1. バリュー株・高配当株投資を行っていた方でも " 自分の間違いに気づいて " ハイテク株へ買い替えを行った方が相当数居られること、2. 投資初心者による新規の口座開設が急増したこと、3. バフェットが株式リターンが出ていない事を理由に何故か槍玉に挙げられていることなど複数の事実が、これを補強する様にも思っています。




最後に


あなたは望みの道を歩いてきたの。この道は、決してまっすぐではないのよ。あなたも大きな回り道をしたけれど、でもそれがあなたの道だったの。


ミヒャエル・エンデ  はてしない物語より



ここで少し、現在から未来に視点を移して考えてみたいと思います。


1年後コロナ禍が今と同じように皆さんは続くと思われるでしょうか?  これは1年後だったら、まだ影響は残っているかもしれませんね。


では2年後はどうでしょう。未だロックダウンや各種制限は続いているでしょうか。旅行はまだ出来ないでしょうか。


それでは3年後なら?



・・・・・



ワクチンや治療薬の開発など、色々な変数が絡むため詳細な未来は誰にも分かりません。ですが、人類は過去にもっと苛烈な感染症(スペイン風邪・天然痘等)も含めて向き合い、克服してきました。


私はやがて人類はコロナに慣れ、コロナと共に暮らす生活も来るのだろうと思います。


そして現状からコロナがいずれ消え、数年分の需要を恐らくは先取りしたハイテク各社と、数年分の需要が停滞した製造業が両者そこに残されればどうなるか? また過去最大級の財政出動の追い風がそこで吹き続けるなら?


そして何よりも割安・割高の格差という事実自体が、やがて水が高きから低きへ流れることにも似て、物事の解決を図る可能性があるのだろうと思います。



・・・・・



ですが少なくとも暫くは、今の流れの中でバリュー投資が皆に追いつく可能性は乏しいでしょう。


道さえ見えぬ中、これから暫しは歩むことが必要になるのだろうと思います。そしてその長さに心折れぬこと、険しさを乗り越える覚悟が求められるのでしょう。


ですがこの道行きこそ投資なのだろうと、また投資に限らず人生とはそのようなものではないのだろうかと、そう私は思うのです。




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