2020年度年次報告 投資資本9042万円 本年もS&P 500指数をアウトパフォームしました!



今回は当ブログの2020年度年次報告となります。

2020年12月31日付(NY市場終了時)のドル建て投資資本は 876,037ドル(90,424,581円, 借入0円)となりました(※注1・2)。


また、以下が当ブログの長期成績です。

※ポートフォリオからキャッシュポジションを除し株式部分のみとして計算し直した、S&P 500指数とのドル建て・税引き後・配当込みでの幾何平均リターン比較になります。


キャッシュポジション分を除して株式部分のみで見た場合の、当ブログの年初来リターンは + 39.3%、SPY + 18.5%です。

従って当ブログの株式ポートフォリオの本年の年初来リターンは、S&P 500指数を + 20.8%アウトパフォームし、アウトパフォームの期間としては現在までで8年間連続という事になります。


2016年2月のブログ開始から見ますと、累積投資元本に対し株式投資による純利益は + 398,913ドル(41,175,800円)です。

また本年の給与などによる増加を含む総投資資本の増加は、年初来 + 311,995ドル(32,204,124円)となっています。



※注1:
以降の記載は全て12月31日付(NY市場終了時)の為替レートでドル建て換算したものです。

※注2:
本年度で確定している保有外国株各種にかかる、外国税額控除での税控除予定額を加えて算出しています。



個人資産

 

以下は私の個人資産となります。



生活資金などを別にしていますので、上図(※注3)ではその点加味すると、12月31日付の個人資産は、94,789,044円となります。

またその他に資産が300万円ほど有りますので、総資産は9778万円ほどということになります。




※注3:
12月31日時点のマネーフォワード明細です。尚、資産管理に用いている同サイトでは、証券口座が反映されるのに数日の誤差が生じています。


株式ポートフォリオと取引内容



上図は12月31日付のポートフォリオ構成です(※注4)。

またポートフォリオ全体の加重平均PBRは0.63倍、ポートフォリオ全体の想定している予定配当率は2.9%(2,463,299円:税引前)となっています。


※注4:
前回までは期間中の主要取引(取引単価・日付・株式数)を全て記載しておりましたが、今回より割愛させて頂きます。記載自体に相当の時間がかかる事に加えて、Twitterでも概ね売買時期・量をお伝えしており、その必要性が薄まった様に思う為です。


取引ハイライト


それでは今回は、当ポートフォリオで今年最も活躍したジェネラル銘柄(バリュー普通株:※注5)CAIに関して主にお伝えしつつ、今年もう一つの収益の柱となったワークアウト銘柄(裁定取引)の考え方に関しても、その要点をお伝えしていこうと思います。

※黒線はCAI、青線はTRTNのチャート。赤丸は購入、紫丸は売却。


上図のように今年3月中旬をピークとした市場の下落において、主力銘柄CAIはポートフォリオ中で最も強い下落に晒され、最大で1/3程への価格の下落を見ました。

しかしここで、企業価値はそれ程には毀損されてはおらず、逆説的な安全域の拡大を見た様に私は思いました。

従って下落率が比較的に軽微であった他の保有株を売却し、経過中は同株を集中的に買い付けています。



さて、今回の様に割安が十分強い状況では、ジェネラル銘柄、つまりバリュー普通株の長期保有のみでも、結果としてかなりの利回りが得られたと思います。しかし今回、本銘柄の特徴からもう一つ、面白い仕掛けが出来るのではないかと私は考えていました。

というのは、こうした恐慌時には、大型株と小型株では市場参加者の恐怖に伴うリスクプレミアムの程度が異なり、小型株ほどに価格にプレミアムが上乗せされる、つまり一定の価格差を持って売り込まれる傾向が、過去の恐慌で繰り返し認められています。



ここで同業のコンテナリース最大手トリトン・インターナショナル(TRTN)を考えてみましょう。

同企業は長期的に、CAIインターナショナルと概ね同程度の業績の伸び・財務基盤の安定性を持ち、複数回の海運不況を経つつ、その価格も長期では一致する傾向を持つ企業です。

更に大企業である故に不況期も業績はやや安定し、その安心感から株価の価格面で変動率(ボラティリティ)が小さい事が、先の図からも見て頂けると思います。

基本的に同じ業界で、同じ海運サイクルの元、同じ商売をするのですから、株価も似た傾向をたどり、不況期には値動きが相対的に小さい訳ですね。



ですから、不況期ほどにCAIの株価はTRTNに比べて一定割り引かれつつ推移し、紆余曲折を経るだろうけれど、やがて好況期には互いの本質的価値に回帰する、そうした再現性を持つのではないかと私は考えました。

この考えに基づき、両企業の企業価値に大きな毀損が無いことを慎重に確認しつつ、価格の鞘が開く毎にCAIを買付け、逆に鞘が閉じる毎に売却するよう取引を行っています。

またこのCAI ⇔ TRTNの枠組み以外にも、特に取引コストが低廉な日本株において、5-6個の枠組みを用いてワークアウトを随時行っています。



結果として、ワークアウトの手法より本年は概ね + 10%程の株式数増加が総じて得られています。



※注5:
ジェネラル、ワークアウトの取引手法は、若きBPL時代のバフェットが用いていた方法になります。個人的にバフェットの取引手法では、個人投資家が最も参考になるのは小型株の取引を多く行っていたこの時期と思っており、私の場合はその資料を読み参考にすることが多いです(バフェット  伝説の投資教室がオススメです)。

裁定取引の手法は、企業買収にかかる価格・買収成功率から利鞘を取るものや、国債・社債での利鞘を取るものなど多岐に渡ります。

私の方法に関しては本質的価値の差を前提として、一定の期間内に高い確率で予想される利鞘の巻き戻しを取るという点において、基本的には似た性質の取引かと考えています。


本年を振り返って


本年は、コロナの広がりに伴う恐慌の始まりを見た上半期の後、市場としては記録に残る程の大きな回復を見せた、相反する時期を持つ一年でした。

ここではコロナによる影響とその経済への影響を基にした社会不安、強い言葉のやり取りの応酬が続き人心にも影響した米大統領選を経て、誰の胸にもその心に禍根を残した時期ではなかったかとも思います。


・・・・・


さて、バリュー投資としては上半期からは徐々に、特に米国株において標準への回帰が一定見られているものも多く、当ブログの成績もそれに準じ一定の回復を示しています。

が、今後のコロナ禍の持続、米国と中国の関係、大量に為された財政出動と金融緩和の行く末、多くの問題は今後長く尾を引くだろうと思いますし、その影響を読み解くのは簡単な事ではありません。

私たちを予想もしない出来事がまた待っているのでしょうし、予想しない結末が待っているのでしょう。その中では長く待つ覚悟が求められるのだろうと思います。


バリューとグロース


本年を通じてバリュー株の苦境は長く、特に日本株でバリュー投資を行っている方においては、とりわけ長く感じた一年間ではなかったかと思います。



この乖離の程度はITバブル期に並ぶ強さであり、特に日本株と米国株の間において格差は一段強いものでした。

過去100年間でも同程度のバリュー株とグロース株の利回りの乖離は少なく、過去最高級ということですから、大変な時代に投資手法をふるいに掛けられ、揺さぶられているものだと感じます。

人は水に顔をつけているとわずかな時間でも長く感じるものだろうと思います。そして今我々が感じている時間もまた、そうした類のものかと思えるのです。


市況とジェネラル銘柄


技術的な面で、今回はポートフォリオにかかる考えを補足してみたいと思います。

本年はこうした市況の中、時流に乗ったCAIインターナショナルをはじめとしたコンテナ業界、またcottaなどのEコマースといった一部のジェネラル銘柄が大きな利益を挙げる一方、ポートフォリオのかなりの部分を占める日本工業株で大きな動きは見られず、対照的な動きが目立ちました。

今から考えれば、上手く行った銘柄に更なる金額を投じていればと思うものですが、残念ながらゲームのルールを後から変えることは出来ません。



さて、これらジェネラル銘柄(バリュー普通株)では、不況期に買いの好機が集中、すなわち株価は下落し、不況の強まりと共に更に株価と利回りが悪化します。ですが一度好況に復すれば、最も強力なキャピタルゲインをもたらすのも通常はこのジェネラルです。

勿論この時期を知るのは不可能ですが、機を得れば、皆の予想に反して市場で最高の利回りを得る一つが、今後恐らく日本株ジェネラルだろうとも予測しています。



ワークアウト


ワークアウト銘柄(裁定取引)はここ数年で見ると年率10%程度の株式数増加に貢献し、ジェネラル銘柄を大きく助ける利回りを挙げています。

こうしたワークアウトの特徴としては、その利回りが明らかに時期と機会に依存しています。そして前述したような関連ないし親子企業などにおける裁定取引は、その特性上企業間の鞘が大きく開く不況の期間、また調整を繰り返すレンジ期間が長いほど、実施にとって有利となります。

更に銘柄同士の交換による保有期間がかなり短い事に加えて、取引自体の予測可能性がかなり高いため、年利回りはそれなりに満足出来るものとなっています。

またワークアウトの成功は市況(S&P 500指数や日経平均)にほぼ連動せず、下降相場におけるポートフォリオ全体の運用実績と殆ど切り離されていることが、主だった特徴となります。



本年のポートフォリオの日本株部分はジェネラルとして保有する傍ら、機会が生じた場合には随時ワークアウトとしても取引を繰り返しており、来年度以降の同部分の運用実績は、今後利用できるワークアウトの対象の有無に左右されるだろうと考えています。

また基本的に私のポートフォリオにおいては、株価が上昇すれば値上がりに伴いジェネラル銘柄の比率が増え、株価が低迷すれば機会の増加に伴いワークアウト銘柄の比率が増えます。

従って、ワークアウトの機会が無くなる事自体が、即ち多くの割安株の回帰が生じた事に繋がってくるのだろうと予測しています。



ですからこの分野に関しても今後を楽観的に考えていますし、単年度の運用実績がさほど重要でないとする意味合いは、こうした事も一つ関連性があると思っています。




最後に

危険に際し人間を支配するのは、思慮よりも感情である。当事者が予期せざる事態に当面し、たじろぐ事なく普段の闘争を続けるには二つの性質が必要となる。

一つは理性、如何なる暗闇の中でも光を投げかけ、以て真相のいずれかにあるかを発き出すものである。二つは勇気、これは微弱な内面にあって、敢えて行動を起こそうとするものである。

クラウゼヴィッツ 戦争論


本年はコロナ禍、Black Lives Matter運動、米大統領選などと大きなイベントが立て続けに生じた一年間でした。それらが及ぼす大きな恐怖や不安があった一方、投資としては大きな好機も有ったことは事実です。

バリュー投資としても、割安株が多数市場に出現したのは一つ今後の好機であるのは間違いありません。そしてグロース投資を実施されている方におきましても、今年は数多の投資の芽があったものと思います。


・・・・・


私が投資として重要に思うのは、好況と不況を併せての、長期に渡る利益の持続性という点です。

ここでは、上げ相場の時期に市場に後れを取らずについていくことの他に、下げ相場に変わった時に打撃を受けづらいことも、同じく考慮する必要があると思います。

一般的にはベータの考え方通り、アグレッシブな投資家は、強気相場で高いリターンを達成する一方、弱気相場において損失も大きくなります。そしてディフェンシブな投資家においてはその逆の事態が起こります。

この中で、下げ相場で市場よりも小さい下げ幅を維持し、上げ相場で市場と同等か、それを上回るリターンを挙げるには、アルファ、言い換えればその人のスキルに頼る他はないものと思います。



バリュー投資にとっては、今この状況においても実体的に市場へのアンダーを出来るだけ抑え、また内面的にも心折れずに誰も買わぬだろう不人気な銘柄、売り込まれ続けるそれを買い向かう事こそがアルファかと私は思います。

またグロース投資においては、市況が反転した場合の長期的なアンダーを抑えること、苦手な市況での振舞いを併せてこそのアルファであろうと思っています。



ポートフォリオの成績が市場平均に及ばない、周囲に及ばない時は大きなストレスを感じます。熟練者を含め、簡単にはこれを乗り越えられないものですが、どうしても乗り越えなくてはならない壁です。

そして今の難しい環境と、及ばぬ自分自身を受け入れる心の在り様が、目指したい思考の形、自分にとってのアルファであるかと、そう私は思うのです。


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