
アメリカン・エキスプレスはウォーレン・バフェットの主力銘柄の一つで、本ブログを訪れる方なら誰もが知る強力なブランドでしょう。同銘柄は私の主力銘柄でもあり、一時期は資産の65%を本銘柄で所有していました。
本シリーズでは、私のアメリカン・エキスプレスに対する投資根拠、特に資産の大半を投資するに至った根拠をお伝えします。
ビジネスモデル
現在、世界全体でクレジットカード取引件数は、16%/年程度で増加しているとされ、同社は特に富裕層に対して、強いシェアを有します。カード決済は数社による寡占状態のため、現代社会のインフラの一部ともいえるクレジット業界は、世界経済の発展とともに成長することが予想されます。
業界全体が強力な寡占により新規参入はほぼ不可能な状態ですので、まず第一に「堀」に守られたこういった業界は投資するにあたって大変な安定性があると考えます。
それでは同社の決算報告書を見ていきます。同社のセグメントには下記があります。
(1) Discount revenue カード手数料収入
(2) Net card fees カード年会費収入
(3) Other fees and commissions 外貨為替手数料、旅行手数料、延滞料、メンバーシップリワード(ポイントプログラム)などの収入
(4) Other 保険料、トラベラーズチェック、その他雑収入
(5) Net interest income 金利収入

最も大きな売上をあげているのはカード手数料収入、次いで金利収入ということになりますね。ここ数年同社の売上は横這いに留まっていますが、これは後述する、同社とコストコのカード契約の解消と、他社カードとの競合激化によるものが原因です。

そして、同社にかかる支出を見ていきます。主な支出はProvisions for losses(貸倒引当金)とExpenses(経費)となっています。貸倒引当金と経費はここ数年は同じ程度のレベルに留まっているようです。
売上が減少しているにも関わらず、サービス維持にかかる経費は同じレベルであることから、競合他社との熾烈な競争が伺えます。

なお経費は(1)マーケティング費用、(2)カード会員へのポイントプラグラムの支出、(3)カード会員へのサービス提供、そして(4)従業員への給与及びその他、より構成されています。
業績の推移
それではアメリカン・エキスプレスの業績の推移を見ていきます。

近年は売上高は横ばいで推移しています。売上高利益率はリーマンショックの前後はその影響が見られたものの、その後は速やかに改善し、現在16%前後と高い水準です。

EPSは2001年から15年間概ね順当な上昇を示しています。15年間のEPSの成長率は10.4%/年となります。

ROEは高い水準で安定しています。16年間のROEの成長率は23.8%/年となっています。

堅調なROEを反映して、BPSは順調に積み増されていますね。

キャッシュフローからは大規模な投資を殆ど必要としない、同社の優秀な財務状態が見て取れます。更に、業績はリーマンショック時も含め、10年以上連続で赤字はありません。
悲嘆にくれる市場

さて、全体として長期間にわたり(特にリーマンショックの前後も含め)、堅調な業績を持つ銘柄であることが見て取れますが、ここ数年の伸び悩みが目立つ印象を受けます。業績を反映し株価も2016年には低迷していました。
その原因は複数あります。
アメリカン・エキスプレスの場合、2015年にコストコとの提携打ち切りが決定し、それにより取扱高の8%が失われるとの懸念が出現しました。
また競合する他社カード(特にJPモルガンが新規に発行したサファイア・リザーブ・カードなど)のポイント還元による攻勢にあっています。このカードは年会費450ドルながら、入会特典で1500ドル相当の特典がつくという強烈な特典つきで、カード業界の話題をさらいました。
更に当時のChina shockの問題があり、業績への強い懸念を来したことから、株価は直近の高値から最大45%の下落を来し低調に推移しました。
そして私は2016年当時、こういった懸念による売りは一過性と判断し、1500万円の集中投資を行いました(平均取得株価は68.54ドルとなります。上図の赤丸が購入時期です)。
次回は、同銘柄にこういった逆風が吹く状況で何故集中投資を行ったのか、その根拠を引き続きお伝えします。
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