大きくみて、主力のRefrigerated Foods(冷蔵食品)は営業利益は14.6%増であるものの、売上高は6.0%減と諸手を挙げて増益を喜ぶ状況でもないようです。
また営業利益では、七面鳥部門のJennie-Oブランドが19.9%減に沈んでいます。そしてSpecialty Foods 13.9%減収、International & Other 15.7%減収、と軒並み減収が続きます。
総じて、全体売上高は -4.1%、営業利益は +1.4%と暗雲が漂うような決算になっています。
それでは、2015年の高値から29%安と売りの判断を下した市場は正しいのでしょうか。もう少し決算を詳しく考えていきます。
同社の主力はGrocery Products, Refrigerated Foods部門など主に豚肉を扱う部門と七面鳥部門(Jennie-O Turkey部門)です。
豚肉の中でもベーコンに用いられる部分の豚脇腹肉は、同社にとって重要な材料です。同部位は2017年度の需要の高まりにより前年比50%増の高値で取引されています。
Grocery Productsの売上・営業利益・トン当たりの売上単価を各四半期毎に私が決算報告書より計算し図にしました。
昨年からの豚脇腹肉の原価上昇に伴い、トン当たりの売上単価が上昇、つまり値上げに踏み切っています。値上げを行っていますが、売上は5.7%増、営業利益は10.2%増と原価高騰の圧力に負けていません。
続けてRefrigerated Foodsです。同様に豚脇腹肉の原価高騰に応じてトン当たりの売上価格は上昇し、値上げに踏み切っていることが分かります。
売上は6%減と販売価格上昇のあおりを受けたものの、営業利益は14.6%増と原価上昇を価格に転嫁できるブランド力があることが分かります。
もう一つの同社の柱、Jennie-O Turkey部門を見ていきます。七面鳥は豚脇腹肉とは逆に、今年に入って原料価格が供給過剰のあおりを受けて昨年比13%下落しています。
直近の同社のトン当たり売上単価は1.6%減と、ホーメルは七面鳥製品を原価の下落に合わせるほどには値下げしていないようです。ブランド力保守の姿勢は理解出来ますが、しかし売上8.6%減、営業利益19.9%減となっており、恐らく競合他社に生じた価格下落の圧力に対抗出来ず、大きな減益となっています。
そのため主に七面鳥部門が足を引っ張り、全体の営業利益を大きく損なっています。
ホーメルブランドではGrocery Products, Refrigerated Foodsなど主に豚肉を扱う部門と比べ、価格変動に対抗できていない七面鳥加工部門(Jennie-O Turkey部門)はコモディティ化に対抗できない、ブランド力に劣る部門と私は判断します。
また主力セクター以外では、Specialty Foodsは本年はブランド売却(Diamond Crystal brands)の影響があり一時的な減収はやむを得ないと思います。またInternational & Otherは本年は中国部門の閉鎖の影響があったため、こちらも同様に一時的な減収理由として止むを得ないと思います。
結論です。
(1)主に豚肉を扱う部門は原価上昇を製品価格上昇に転嫁してもなお営業利益増益を達成しており、高いブランド力を持つと考えられる。
(2)七面鳥加工部門は価格変動に対応できずブランド力に劣る可能性がある。
売上の68%を占めるGrocery Products, Refrigerated Foods部門において、原価が高騰しても(豚脇腹肉は50%高騰)増益を達する堅牢なブランド力を持っているため、七面鳥部門の原料需給のギャップが改善すれば再び増収増益を達成する可能性が高いと私は考えます。そのため、本銘柄は安値に至れば買い場だと思います。
次回は同銘柄の安全域に関して考察を続けます。
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