ヘインズ・ブランズ(HBI)の投資判断(4) 2017年 Q3決算 雪崩を打つ市場



今回は11月1日付のヘインズ・ブランズの2017年Q3決算を読んでいきます。


決算内容はまずまずでした。


※ヘインズ・ブランズ  IR 2017年 Q3より引用。


売上高は前年比2.2%増、営業利益は10.9%増、純利益は17.0%増、EPSは0.45 → 0.55ドルへの22.2%増でした。


しかし、伸び悩むセグメントの結果(米国市場でのInnerwear, Activewearの低迷)を受け、先行き不透明感から翌11月2日の市場では-8.8%安の安値を付けています。




決算報告書




それでは決算報告書を詳しく読んでいきましょう。


上図は各セグメント毎の売上と営業利益です。ヘインズでは部門を下のように分けています。


(1)下着や靴下などのInnerwear部門
(2)チャンピオン製品などのActivewear部門
(3)海外販売のInternational部門
(4)直営店やカタログ販売などのレガシー分野を扱うOther部門


なお、2016年7月に同社はオーストラリアの衣料大手、パシフィック・ブランズを買収していますので、本7-9月期決算ではInternational部門を見るにあたってその影響も考慮する必要があります。


本四半期の売上では、Innerwear, Activewear, Otherが、前年比、或いは今年のnine-months endedに比べて落ち込む、ないし伸び悩んでいますね。


当ブログでお伝えしてきましたように、米国小売業界は、(1)eコマースの業績伸長によるオールドセクターの業績懸念と、(2)過剰な設備投資の後遺症によるミニバブル崩壊の逆風が吹き荒れており、eコマース以外の小売・食品・アパレルといった従来型産業は強い逆風に苦しんでいます。


その例に漏れず、本銘柄でも米国内の売上は伸び悩んでいる状況にありますね。


続けて営業利益の項目を見てみましょう。


Innerwear, Activewear, Otherともに前年比ないしnine-months endedに比べて、営業利益は改善しているのが見て取れます。売上は伸び悩むものの、過去に繰り返した買収によるシナジー効果(チャンピオン・ヨーロッパや前述のパシフィックブランズなど)、コスト削減の効果が表れてきているのだろうと推測します。


Internationalの売上は、nine-months endedでは47%増、本四半期では16.4%増と本四半期では減少しているように見えますが、これは昨年の7月にパシフィック・ブランズを買収しており、その影響によるものです。


つまり、Internationalは本四半期も十分な成長を遂げ、ヘインズの利益の柱に育ちつつありますね。


Otherの直営店やカタログ販売といったレガシー部門は、本四半期では売上減は続くものの営業増益を達成したようです。


またオンライン販売は前年比20%以上の増加を達成し、全体売上の9%を占めるまでになったとのことでした。


以上をまとめますと、(1)市場環境により米国内の売上はやや減少しているが、(2)営業利益はむしろ国内も含めて前回より増加しており、(3)特にInternational部門の利益増は顕著である、そして(4)eコマースにも順当に対応している、ということになります


雪崩を打つ市場


この四半期の市場の反応は興味深いものがありました。


※MSNマネーより引用。


前回の四半期決算の後から好調な決算報告を受けて、株価は直近の最安値より25%程度の上昇を来したのち、その後、同社役員が自社株式を売却したとの報を受け決算前までに値を16%程下げています。


ファンダメンタルズの動きは全くないにも関わらず、大きく変動する株価はとても面白いものがありました。


一般に企業役員が高値相場でM&Aに乗り出したり、高値掴みの自社株買いを行うことも良く目にしますので、役員だからといって適正な株式価値を理解しているとは限らないと考えています。


そのため、私はインサイダーの取引はあまり気にかけていません。ただファンダメンタルズの動きと、株価が割安かどうかが私の見るポイントです。


上図の赤丸が私の株式購入価格ですが、先述のイベントで若干の含み損が出て参りました。


しかしながら、業績は外部環境による不振を除いては堅調に推移しており、現状、保有には問題を感じません。


撤退のしどころ


株価の下落にかかり、本銘柄の撤退のしどころに関する質問を頂きましたので私の考えをお伝えします。


一般的に企業の業績になんら落ち度がなく、一時的な要因による業績不振が続く場合は、株価下落毎に私は買い増しを続けます。


私の経験論で申しますと、この際には、10%の株価下落毎に機械的に買い増しを行うことが多いです。一時的な原因で売られる優良銘柄の場合、良好なファンダメンタルズが株価をバックアップしますので、ある程度安値となってからの私の購入開始時からすると、大体3回くらいの買い増しで株価の底を見ることが多いように思います


本銘柄でも上記の方針で買い増しを続けています。


しかしながら、もし「堀」が失われるような事態、例えばヘインズの業界シェア低下や、粉飾決算などの不祥事が出現した場合、また本銘柄にあると思われた「堀」がそもそも私の見立て違いと判明した場合はその限りではありません


その場合は、本銘柄を売却し損失を確定させます


バーゲンセール


個人的に、EPSが力強く上昇を続けつつも、市場からは売りを浴びる銘柄が大好きです。


本銘柄はここ10年概ね一貫してEPSは上昇を続けています。昨年から今年に至っては前年比22%増とグロース株なみの成長率を見せています。


更にここ10年ROE, ROA, 売上高利益率, BPSなどの指標も全体に成長を続けているのです。


高値相場にあって、こういった好業績でも売りを浴びる銘柄が残っていることは、大変有難く思いますし、企業の安全性を確認しつつ、本四半期も着実に買増しを続けていきたいと考えています。




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