今回は2019年10月29日付、CAIインターナショナルの第2・3四半期報告書を考えていきます。
本期間は米中貿易摩擦が一層その激しさを増し互いの関税障壁を強めた時期に当たり、貿易量と業績が直結する当企業においては特に影響の大きかった時期でした。
第3四半期の決算結果は赤字に沈み、また刻々と変化するマクロ環境を受けて、決算直後の株価は上下両方向への強い変動を見せています。
さて、当ブログはこの逆風渦巻く6か月間の間、ポートフォリオの大きな割合を割いて(ポートフォリオの36%)当企業への買増しを継続しています。
今回はこれらの決算を見つつ、私の考え、特に赤字にかかる考えを中心にお伝えしていきたいと思います。
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尚、先日Twitterでお伝えさせて頂きました様に、CAI・FCAなどの記事は今後は半年毎、ないし節目となる大きなイベントが生じた際に記載とさせて頂きます。
これは、今までこれらの銘柄に関して私の見解を十分に述べさせて頂き、基本的に内容を概ね語りきったこと、また現状の特に貿易銘柄に関して安値が続く市場において、私も新規銘柄の検索にリソースを割く必要があるためです。
また大変恐縮ながら、これら銘柄を購入される方におきましては、動きが速いマクロの環境下で更新がどうしても遅れがちとなる当ブログを判断材料とされるよりも、ご自身で十分に決算等の資料を都度精査頂くことも、とても重要なことと私は思うのです。
それでは始めていきましょう。
決算業績
損益計算書
※単位は千ドル。また以降、本稿の財務諸表データの単位は千ドル。
本第3四半期では本企業の継続事業による売上(※注1)は前年同期比 + 0.8%、営業利益 -7.1%、純利益 -37%となっています。
これは第2四半期では、継続事業による売上は前年同期比 + 9.3%、営業利益 -1.4%、純利益 -36.8%でした。
第2-3四半期共に減益の厳しい時期であったことは間違いありませんが、コンテナやロジスティクス部門においては減益幅の下げ止まりも見える、そのような印象も受ける時期であったと個人的には思います。
またかねてからの不採算部門であった鉄道リース部門は部門全体の売却を検討・交渉中であり、非継続部門として区分されています。これを含む第3四半期決算の総純利益は、上図のように赤字に転じています。
ただこちらは主に鉄道貨車の資産評価額減に伴う減損によるものであり、減損規模は本四半期 25,600(千ドル)でしたので、景気循環企業のサイクル低迷期の赤字としては保有資産の減損による赤字はパターン通りで、且つこの後の売却による損失確定を経れば損失としては一時的なものかと思います。
また実際のキャッシュフローは黒字ですから、倒産などということには繋がらない類のものと思います。
が、この赤字転落という事実は市場において中々インパクトのある数字になりますね。
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またここではNet interest expense(利払い)も3か月/9か月間で前年比増を見ており、全般に見て先のシリーズでお伝えしました様に、資本集約的な産業で営業レバレッジ・財務レバレッジの両者が不況期には効いてくるという、規模拡大のウィークポイントが現れたものかと思います。
そして株式数はこの9か月間で19,492 → 17,525(千株)に減少しており、株式数としては10.1%分の自社株買いが為されていることになります。
更に2018年に承認された同社の自社株買いプログラムでは最大3,000千株が承認されていたため、未だ約1,000千株の買戻しが可能となっており、今後も市況や自己資本比率に応じての自社株買いが期待されます。
ここで本企業の長期的な収益及び簿価の成長を、振れ幅が大きい利益の面からだけでなく、自社株買いも含めた一株当たり純資産(BPS:上図赤字)の面から見てみます。
本企業は欧州債務危機・チャイナショックなどといった複数の危機を経て、過去その利益幅こそ大きく変動しているものの、長期的には順当なBPS成長を続けており、本年も年初から見るとプラスの成長を続けていることが分かると思います。
そして私自身としては、この減損による影響が一過性に過ぎるのであれば、本期こそ赤字により簿価増は得られなかったものの、その分の本質的価値は数%の減少に過ぎず(予定よりも3-4%のロス)、投資前提に特段変化を及ぼす大きさでは無いと考えています。
※注1:
尚、鉄道リース部門は第2四半期決算で全額を売却、得られた資本を自社株買い等の株主の長期リターンに最も寄与するよう配分すると決定されました。これを受け、第2四半期以降の同セグメントは会計上は非継続部門として別区分で扱われています。
継続部門は、コンテナ及びロジスティクス部門になります。
貸借対照表
貸借対照表を見ていきましょう。
簿価(上図赤字)は18年年度末→19年第3四半期にかけて -2.2%減を見ています。ですが昨年から今年にかけては大きく自社株買いが為され、BPSの経過で見てみると今年に入ってから +5.0%となっているのは先にお伝えした通りです。
そして純資産減の原因は景況による純利益減以外にも、主に本四半期に生じた鉄道リース部門の減損にあります(上図青字)。
本企業は2019年に入り鉄道リース部門の売却を本格化させています。第1四半期は1億6530万ドルで鉄道貨車の1/3を売却し (その際売却益 700万ドルと辛うじて黒字でした:CAIインターナショナルの投資判断 (5) 参照) 、今後残る2/3を売却する方針です。
この売却により鉄道車両の評価額は前年比2/3程に減じ、更に鉄道車両では第3四半期で25,600(千ドル)、第2四半期でも7,323(千ドル)の減損が有りましたので、鉄道資産は大きく簿価を減らしており、図中の売却予定資産(Assets held for sale)の資産減と残額は、これらの累計として概ね計算が合うだろうと思います。
なおこれら四半期は、業界最大手で優良な財務を持つ(基本的に規模が物を言う業界です)TRITONにおいても、19年第1→第2→第3四半期において、BPSは28.3 → 28.4 → 28.65ドルと簿価の伸び悩みに直面した時期ですから(※注2)、業界内で規模に劣る本企業はそれなりの健闘をしているかと個人的には見ていますし、鉄道リース部門の苦境を解決することが、一つ財務上の再起のカギになる様に思います。
※注2:
なおTRITONは高配当銘柄(年5.62%:19年10月30日現在、また以降の本稿の各種市場価格は同日付に基づく)であり、高い配当支払いが簿価の伸び悩みに繋がっている面もあります。
これを加味し、TRITONの本年2-3四半期の配当+BPS成長率(自社株買いも含まれる)は、+4.9%/半年です。
そして同時期のCAIのBPS成長率は +1.3%/半年と劣後しており、やはり規模がモノを言う業界という一面は否めないですね。
ただTRTNのPBR 1.3倍程に比べ、CAIのPBRは0.7倍ほどと約半分のバリュエーションであり、業績が良い企業ではそれ相応の価格が付く点には注意しています。
キャッシュフロー計算書
キャッシュフロー(CF)計算書を見ていきます。
本年9か月間の営業CFは前年比 +34.8%と増加し、また投資CFは -75.1%と大きく削減されています。
そしてここで特に、Purchase of rental equipment が大きく減じています。
コンテナ保有台数は2017年末 → 2018年末 → 2019年 9月末で、1,282,739 → 1,568,707 → 1,737,958(CEU)と昨今投資を控えつつも徐々に増、鉄道貨車台数は7,172 → 7,279 → 5,504(台)と減少していますので、資本効率に基づく投資先の取捨選択を反映したものだと思います。
また減価償却を含む純資産ベースで見た場合、コンテナの資産価格は昨年末と本第3四半期では殆ど価格が動いておらず、投資を明らかに控えていることが分かりますね。
これにより本年のフリーCFは、18年→19年の比較で-318,682 → 74,275(千ドル)に増加を見、また上図の財務CFでは、主に借入の削減が図られマイナスとなっています。
以前のシリーズでお伝えしました様に、景気循環企業ではフリーCFが慢性的に赤字になるものの、費やした投資CFによって継続的な簿価増を来して成長し続ける企業も多く、本企業も通常フリーCFは赤字です。
ここから本企業は本年度の投資を、既存コンテナの交換プラスアルファ程度に抑えフリーCFを黒字化させ、財務CFでは借入を逓減させ、更に不採算部門を閉鎖・売却と、徹底して不況に対する防御の姿勢を取っていることが分かります。
部門別業績
コンテナ
本企業の主力たるコンテナ部門は増収であるものの、先にお伝えしたコンテナ数増加に伴う営業経費増・支払利息増が見られています。
またコンテナ数増加はオンリース・コンテナの平均レンタル料金の前年比10%減少を見たため相殺されたとのことで、これらの結果として減益に沈んでいます。
※HARPEX指数(コンテナ船運賃指数)
HARPEXでは本企業の損益分岐点を上回る運賃水準が続き、現況程度の海運市況が続くならば、減損などの要因に寄らぬ構造的赤字を来す可能性は低いと私は考えていますが、それでも不況期である以上、それなりの減益を来すのはやむを得ないものと思います。
また本四半期はこれまで売上が保たれていた米国でも売上減が生じ、世界全体として売上が伸び悩んでいるのが分かるかと思います。
ロジスティクス
第2四半期決算でガルシアCEOは、ロジスティクス部門は需要が予想よりも緩やかだったため今後速やかに人員を23%削減し、オフィスを一つ閉鎖すると発表しました。そして本四半期、部門の削減が実行に移されました。
これを受け先の図では、本部門は売上こそ僅かに減収しているものの、赤字は消失しています。
よって元来利益をほぼ生まぬながらに本企業のPR部門(コンテナ輸送における付加価値)としてTRITONなど同業他社との差別化に有意義と思われる本部門は、財務上も足手纏いの比率が減じたものと思います。
ガルシアCEOは営業レバレッジを用いて同部門の今後の成長に注力し、同時に経費を削減しつつ利益率の改善に注力すると、規模を追う方針を改めて本四半期カンファレンスコールで説明しています。
今は大変な時期であるものの、好況期はコンテナ部門の伸長とともに本部門の必要性も増すと思え、その方針は理に適う様に感じます。そして部門閉鎖の決断と実行のスピード感も現状では優れた判断だと私は思います。
非継続部門(鉄道リース)
先にお伝えしました様に、鉄道車両は全て今後売却の方針であり、本年第1四半期に全体の1/3が既に売却されています。
上図ではこれにより、鉄道車両の評価額は前年比2/3程に減じ、更に鉄道車両では第3四半期で25,600(千ドル)、第2四半期でも7,323(千ドル)の減損が有りましたので、鉄道資産は大きく簿価を減らしています。
また本年第1四半期は1億6530万ドルで鉄道貨車の1/3を売却し、その際売却益 700万ドルと辛うじて黒字を計上したものの、本四半期の減損では損益分岐点を割り込んだということです。
よって含み損、且つ上図の様に赤字が元来続き、マイナスのCFを生み続ける資産ですので、元来が2015-16年の市況低迷期に仕込んだ割安であったとは言え (CAIインターナショナルの投資判断 (4) 参照) 、改善の目途が立たないとなると継続保有は厳しいものがあります。
そして本四半期も余剰貨車を売却してなお、引き続き鉄道リースの平均利用率は85.3%と低迷しています。
鉄道部門を売却することによるシナジー効果(顧客への訴求力)減は一つ懸念されるものの、同業他社との差別化にはロジスティクス部門(因みに生み出す赤字は僅かです)がありますし、この部分の判断は現場の経営陣を信用すべき所でしょう。
また鉄道事業では減損後、第3四半期末時点で純資産ベースで5000万ドル、負債は2億5000万ドル(売却時に完済予定)ということですので、売却が成立した場合はこの中から自社株買い/コンテナ投資などがその時の資本効率に基づき行われることになります(※注3)。
尚、鉄道貨車でも穀物輸送用の貨車(240両:同社の保有車両は全体で5504両)は、中国への穀物輸出が限られている問題から今後数ヶ月で売却価格に更に検討を要するとのことです。再度の減損を来す可能性は、台数が限定的、且つ2度の減損後のため規模は小さいと個人的には考えるものの有り得るかと思います。
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この2-3年の期間を経て見込みが無ければ売却という手法は、個人的にはバリュー投資の常道にも似る損失確定かと思っています。
割安で購入しても時に失敗することもある、投資とはそういうものだと思いますし、暫し好況を待てば上手く行く可能性も有りはすると思いますが、投資とはどこかで出口戦略を考えねばならないものです。その期間として2015年の良い時期に仕込んだ上で、2-3年間の赤字を耐えたCEOの忍耐と判断力は、僕は評価して良いものかと思うのです(※注4)。
※注3:
現在の評価額で鉄道貨車を売却した場合、鉄道負債完済後も5000万ドルの純資産をキャッシュとして自由に配分出来ることになります。
ここで純資産6.9億ドル・総資産29.5億ドル規模の本企業において、全てを自社株買いに回すと財務レバレッジ比率が多少増加します(現在の4.3倍 → 4.5倍になります、以前のシリーズでお伝えした様に不況期にはこの数値を3倍位まで低下させておきたい所です)。
ですからあまりバランスシートを痛めぬ程度の自社株買いを行うのだろうと、個人的には思います。
仮に2000万ドルの自社株買いを行った場合、財務レバレッジ倍率4.4倍、また時価総額4.2億ドルの本企業では5%分の自社株が買い戻せることとなります。
※注4:
市況により鉄道貨車の売却を中止し得ることが、決算報告にはシレっと書いてあります ('ω')
鉄道貨車が減損を繰り返している安値傾向の時には、前シリーズでお伝えしたように誰しも資産売却をしたくはありません。マクロ環境が上向いた後、値上がり後での売却に変更出来ればと思いますが、ただその際の自社株買いは株価上昇により効率性が落ちることも問題です。
よって鉄道部門を暫く保有し続けたり、適時コンテナへの投資に振り替える等、経営陣の戦略には幅があり得るだろうと思います。ここではバフェットが言うように、「留保利益1ドルが、1ドルを上回る価値を有する」ように配分することを期待します。
負債
リース企業では借入を多く用いる産業の性質上、借入の量と金利が問題になります。
カンファレンスコールでは継続事業に関連する債務は18億7700万ドルで今後数四半期でわずかに減少予想、非継続事業(鉄道関連)の負債は2億5000万ドルでこちらは鉄道資産売却時に完済予定としています。
そして財務レバレッジ倍率は4.3倍と2018年年末から増加無く、業界(TRTN 4.2倍, TGH 4.2倍)では標準的な水準となっています。
また第3四半期末時点の借入金利は3.7%となっており、これは2018年末が3.9%でしたから一つマクロの低金利の恩恵を受けたものであり、経営陣は低金利が継続する間に更に借り換えによる金利低減を目指すとの方針です。
内訳は固定金利 59%・変動金利41%となっておりこれは本年第1四半期と概ね同水準です。比率からは低金利の進行に浮かれず固定金利にも比重を置き、急激なインフレや金利増に備えて待つ慎重な姿勢も見て取れますね。
ですが、債務全体の量が増加傾向にあることを反映して Net interest expense(利払い)は増加傾向にあり、純利益を圧迫している事実は今後も注意が必要だと思います。
私の考え
凪訪れた時
さて、これまで本企業の恐らくはチャイナショックにも並ぶ、ここ数年でも最悪期の決算を見て参りました。
年初にお伝えしました様に景気低迷期における (CAIインターナショナルの投資判断 (5) 参照) 景気循環企業の弱点が、予想通り見られ始めたのがここ数四半期の状況かと思います。
確かに現状は良い環境ではありませんが、不況期に経営陣が為すべき、 (1) 財務・営業レバレッジの削減、(2) 資産減損による過剰に過ぎる減価を来さぬこと、(3) 安値の自社株を利用した自社株買い、これらの行動を本企業は順当に行ってくれており嬉しくも思います。
しかし経営陣の懸命の操舵・ダメージコントロールの判断にも関わらず、コンテナ運賃の-10%程の下落や、コンテナ需要低下、資産価格の下落などといった外部環境、またそれによる赤字はビジネスの構造上如何ともし難い所です。
ですが私は嵐が過ぎ去り再び凪が訪れた時に、傷みが少ない船であれば、再度追い風を受けることが十分可能だろうと思うのです。
今後の風向きがどこに向かうのか、船の傷みが今どの程度なのか、船長の舵取りは妥当なのか、こうした航海の確実性を都度考えていくことが肝要だと思っています。
ジョッキーに賭ける
カンファレンスコールで、ガルシアCEOは以下の様に述べています。
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我々は目下、コンテナへの投資を積極的には行わず、リターンの期待を満たす取引のみ発注を掛ける様にしており、価格設定が水準を下回らないよう注意を払っています。
高いコンテナ稼働率を維持し、需要の在る所に資本を配置し、リターンが魅力的な場合にのみ投資するという規律あるアプローチを保つようにしています。
実際コンテナ利用率は98.6%と過去最高レベルで、コンテナ部門においては2ケタのROEが継続しています。更にリース契約の長期的構造に基づき固定されたCFの元、今後数四半期も同様の利用率が続くと推定しています。
また業界全体の新たなコンテナの生産量低迷により、そのコンテナ利用率は高く、需要の低さに反してコンテナ価格は比較的保たれています。この状況下においては来年度、コンテナは生産者が供給量を尚削減し続ける可能性が高く、ここで一度需要が増加すれば、コンテナ価格は歴史的に見て標準的な価格帯まで速やかに跳ね上げる可能性が高いものと我々は考えています。
需要の増加による好機を、探っている状態なのです。
通常、市場の軟調な時は18か月程は続きます。その分を少し超えるとしても、来年第2四半期頃での需要改善を我々は見込んでいます。
また需要喚起の転機と一つなり得るのは、来年度から施行されるIMO 2020規制です(2020年より世界全ての海域で燃料中の硫黄分削減が義務付けられており、硫黄酸化物の除去装置敷設や新造船竣工が必要となります)。
この規則に適合するため、来年度、顧客は新規・既存船腹への投資を優先させることが予想されます。一部の顧客は船舶に投資しなければならない都合上、コンテナリース市場への需要は高まるものと期待しており、特に顧客が必要な時だけ利用可能な短期リースにおいては、現在の市場環境は追い風となる可能性があります。
もう一つ重要なのは、本四半期で報告した損失の殆どは実際のキャッシュと関連が無いことです。我々はキャッシュバーンから遠い場所に居たいと思いますし、収益性の高い現実的な事業に興味を持っています。
そして経営に当たって魔法の杖は無く、適切な資本配分と価格設定こそが我々の戦略にとってのカギになるだろうと考えています。
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私の考えは今までと変更は有りません。
有能で誠実なバリュー思考の経営陣が居り、ファンダメンタルズやカタリストの考え方を十分に共有し、現状大きな問題無く資本を配分しています。そこで私の行うべきことは特に無く、ジョッキーを信じただ待つということになります(※注5)。
※注5:
以下は、決算・カンファレンスコールを見ての私の主観です。
赤字会計も分かりやすく報告・説明し、キャッシュフローによる赤字を伴わぬ、減価償却や減損が赤字の主体であると報告する経営陣は貴重に感じます。大きなマイナスのキャッシュフローを会計操作で黒字に繕うと、その逆のことを行う経営陣もちょくちょく見るのです。
そして不況時の資産価値減による赤字は、企業自体に瑕疵が無ければ好況期にはその巻き戻しが起こりますし(コンテナ資産価格の上昇等)、こういった企業でより警戒すべきは大きすぎるCF赤字や構造的な問題による赤字かと私は思っています。
最後に
確かに港に居れば船は安全だろうね。しかし、それでは船の用を為さぬだろう?
ジョン・メイナード・ケインズ
本企業に投資を始めて1年余が過ぎ、好況から不況へ、そして不況の底が見え始めた様にも思える本期決算へと、決算の移り変わりを見て参りました。
この間市場価格は目まぐるしく日々その値段を変え続け、マクロの先を読み取ろうと日々のニュースで売買を繰り返す市場参加者の思惑をランダムに反映し続けているものと思います。
そして皆が懸念する様に、景気後退期での将来価値の正確な予測が難しいことも、またその通りだと思います。
ただ私は思うのです。
誠実で有能な経営陣が、堅く収益性の高い事業を営み、価値(=簿価の成長率、本企業に於いてはコンテナ)を積み上げ続けている。
陳腐化することの無い成長産業において、業界では世界有数の企業という限定的な堀を持ち、また更には長き業界低迷を経て不況期もその需要減は見られなくなってきていると。
私自身はこういった理由から、赤字を出しつつも本企業の本質的価値は現時点で不変だと思っていますし、そしてこのような共に居て楽しいと思える経営陣と、来年度も、また更にその後の長期的な成長も楽しみに待ちたいと思っています。
そしてもし本企業に対する私の判断に変更が生じた場合は、いつもと同じく可能な限り早く、私の判断を皆様にお伝えさせて頂く予定であることも併せて申し添えておきたいと思います。
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